伝送路を使って2点間でデータを伝送するには、双方が同じ制御方法でデータの送受信をする必要がある。
伝送制御の段階(フェーズ)
【 回線制御 】
回線交換網を利用した通信を行うときに、回線の切り替えを制御する。
【 データリンク制御 】
通信回線が接続され、相手との通信が可能になっている経路をデータリンクという。データリンク制御では、回線の接続と相手の確認によりデータリンクを確立し、データ伝送の終了後にデータリンクを開放する。
【 同期制御 】
データを転送する際に、送信側と受信側のデータのやり取りのタイミングをとったり、受信側の処理状況によって、データの取りこぼしがないように送信速度を調整するフロー制御をおこなったりする。
【 誤り制御 】
伝送されたデータの誤りを検出し、訂正したり、データの再送を指示したりする。
【 ルーティング 】
通信相手との経路が複数ある場合、どの経路を通るか決めることをルーティングと呼んでいます。
回線の接続や切断(回線制御)、通信相手の確認(データリンク制御)、データの伝送(同期制御・誤り制御)、などの伝送制御を行う一連の制御手順を伝送制御手順という。伝送制御手順の種類には、以下の3つがある。
【 HDLC 】
HDLC(High level DataLink Control)手順とは、通信速度、伝送効率、信頼性を高いレベルで実現する伝送制御手順です。
HDLC手順は、ISOで標準化され、日本でもJIS規格化されています。
HDLC手順は、データをひとかたまりにしたフレーム(frame)とよばれる単位で、データの送受信を行ないます。フレームの構成は次のようになっています。
F | A | C | I | FCS | F |
記号 | 名称 | 内容 |
F | フラグシーケンス | フレームの開始と終了を表します。「01111110」 という固定のビットパターンとなります。 |
A | アドレスフィールド | 送信先もしくは送信元のアドレスです。8ビットで表現されます。 |
C | 制御フィールド | フレームの種類と制御内容、フレーム番号を表します。 |
I | 情報フィールド | 転送するデータ内容を表します。 |
FCS | フレームチェックシーケンス | CRC方式による誤り制御のシーケンスを表します。 |
HDLC手順では、フレームを連続して転送することが可能です。 連続して送信しているときは、下図のような状態でデータ転送を行なっていることとなります。
データ送信方向 ←
← フレーム 1 → | ← フレーム 2 → | ← フレーム 3 → | |||||||||||||||
F | A | C | I | FCS | F | F | A | C | I | FCS | F | F | A | C | I | FCS | F |
HDLC手順では、フレームの開始と終了を表す F;フラグシーケンスは、「01111110」という決められたビット列です。
もし、I;情報フィールドに「01111110」というデータが含まれていたらどうなるでしょうか?
当然ながら、データ受信側では、I;情報フィールド 受信中に、F;フラグシーケンス
のビット列を受信することなり、フレームの構成が分からなくなってしまいます。
このような問題に対処するため、HDLC手順では、
という決まりの制御を、送信側、受信側で行なうことで、I;情報フィールド 受信中に、F;フラグシーケンス
のビット列が出現しないようにして、この問題に対処しています。
HDLC 手順は、OSI 基本参照モデルのデータリンク層に位置する。
【 ポーリング/セレクティング方式 】
中央に「制御局」を設け、この制御局が通信を仕切ります。制御局につながっている別の局を「従属局」と呼びます。制御局が順番に従属局に通信を行うかどうかを確認していきます。この動作を「ポーリング」と呼びます。
ポーリングにより、通信を行いたい従属局は「ACK(肯定)」の信号を制御局に返します。
「ACK(肯定)」を受け取った制御局は従属局にセレクティング(データ転送を行う準備)を行って、データ通信を開始します。
【 コンテンション方式 】
ホストまたは、いずれかの端末のうち、送信要求を早く出した側が制御権を獲得する方式。送信相手からACK(受信可能を示す制御符号)が送られてくれば、データリンクが確立する。
【 マルチリンク手順 】
複数のデータリンクをまとめて、一つのデータリンクとして提供するための伝送制御手順である。
ISDNの64kbpsの回線2本分を別々の通信に利用したり、2本まとめて回線1本として利用したりすることができる。
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