企業と法務 - 22.企業活動 - 2.OR・IE - 2.在庫問題

Last Update : January 02 2021 16:00:51

     

a. 在庫問題

企業にとって、在庫を適正に管理することは、利益の増減に直接関係する。在庫が少なくなり切らしてしまうと、購買機会を失うので利益が得られない。また、大量の在庫を抱えることは、コストがかかるため損失が発生してしまう。
また、需要変動を正確に予測するのは難しいため、大きな需要変動でも対応できるように余計に在庫を持つ場合が多い。その在庫のことを安全在庫という。

経済的発注量 】 ( EOQ : Economic Ordering Quantity )
在庫を補充する場合に、最適な発注量を計算する方法。

  • 発注費用・・・1回の発注にかかる費用。1度に発注する数量が多ければ、発注回数が減るので、全体の費用は少なくなる。
  • 在庫維持費用・・・在庫を抱えることで費用が発生する。在庫数や在庫期間により、在庫費用が増加する。
  • 在庫総費用・・・発注費用と在庫維持費用を合計した費用



在庫保管費用と発注費用が交差するところが経済的発注量

[ 例題1 ]
販売量 : 1年間で12,000個
発注費 : 16,000円 / 1回 (発注量には無関係とする)
年間保管費用 : 600円 / 個

条件

  • 発注は毎回同じ量を発注する
  • 発注後即座に納入される
  • 在庫の減少は一定
  • 発注は在庫がゼロになったら行う

上記の内容で経済的発注量を考える。
1回の発注量を x として、
年間の在庫保管費用を考える。
平均在庫量は、在庫が 0 になったら発注するので最低個数は 0 、
発注するとすぐに発注個数が届くので最大個数は、発注量の x になる。
このことから、平均在庫量は、( 最大量 + 最低量 ) ÷ 2 になるので、
平均在庫量 = (発注量 + 0 ) ÷ 2 = x ÷ 2
年間在庫保管費用 = 1個当たりの年間保管費用 × 平均在庫量 = 600 × ( x ÷ 2 ) = 300x

次に発注費用を考える。
発注回数 = 年間販売量 ÷ 発注量 = 12,000 ÷ x
発注費用 = 1回当たりの発注費用 × 発注回数 = 16,000 × ( 12,000 ÷ x )

在庫費用と発注費用が同じになるのが経済的発注量なので、
300x = 16,000 × 12,000 ÷ x
x2 = 16,000 × 12,000 ÷ 300 = 640,000 = 8002
よって、経済的発注量は 800個になる。

※ 上の場合、きれいに800になったが、小数点以下の数字が出た場合は、799個と800個と801個で在庫費用と発注費用を計算し、その合計が一番低いものが経済的発注量になる。

[ 例題2 ]

  • 年間の消費量は20,000個
  • 発注はロット単位で行い、1ロットは500個
  • 発注ロット数は毎回同じ
  • 在庫維持費用は1回当たりの発注量に比例し、1ロット当たり15,000円
  • 1回の発注費用は、6,000円

上記の内容で経済的発注量を考える。
発注ロット数を x として考える。

在庫維持費用は、発注ロット数 × 15,000 = 15,000 × x = 15,000x

発注回数 = 20,000 ÷ ( 500 × x ) = 40 ÷ x
発注費用 = 6,000 × ( 40 ÷ x ) = 240,000 ÷ x

在庫維持費用と発注費用が同じになるところが経済的発注量なので、

15,000x = 240,000 ÷ x
x2 = 240,000 ÷ 15,000 = 16 = 42
よって、発注ロット数は4ロットになる。


定量発注方式
在庫を発注するタイミングは、決められた在庫まで下がった時点で、決められた数量を発注する方法。

定期発注方式
発注する時期(間隔)を定め、その時期が来たら発注量を検討して発注する方法。


  [ 例題 ] 
  1. 平成19年度春期 問77  発注点
  2. 平成19年度秋期 問78  在庫補充量
  3. 平成17年度秋期 問78  発注方式
  4. 平成14年度春期 問78  定期発注方式
  5. 平成12年度春期 問73  在庫管理


     

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