経営戦略 - 19.経営戦略マネジメント - 2.マーケティング - 2.マーケティング戦略

Last Update : April 22 2021 19:23:12

     

a. 製品戦略

市場に投入された製品にはライフサイクルがあり、その時々に応じた製品戦略が必要となる。
製品ライフサイクル理論は、4つの段階はそれぞれにマーケティングや販売方法(プライシング、市場アプローチなど)が変わるとするもので、各段階で収益最大化を目指す。ただし、製品および市場の特性ごとに、短命な製品、平均的な製品、長命な製品とさまざまなパターンがある。

製品ライフサイクル理論 】(プロダクト・ライフサイクル)
製品ライフサイクル理論(Product Life Cycle)とは、製品が、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階を経るという理論を指す。その間の製品に対する売上げは図のように変化し、各段階によって特徴・課題があるため、取るべき戦略も異なる。

  • 導入期
    製品の認知度が低く、需要量も低い段階。そのため利益は出ないが、市場開拓のためのマーコム戦略のもと、製品の認知を上げることが課題となる。特に製品コンセプト、基本的機能、使い方などをコミュニケーションし、ターゲットがその製品を使用するイメージを持てるようにすることが必要。
    [導入期の特徴とマーケティング戦略]
     売上高: 低い
     利益水準: 低い
     競合企業: ほとんどいない
     マーケティング戦略: 価格戦略とプロモーション戦略が重要
  • 成長期
    需要が喚起され、売上高、利益共に急上昇するが、市場参入業者も増える。市場におけるシェアの拡大・確立が課題となるため、ブランドイメージを浸透させるためのコミュニケーションが必要。また、新機能やライン拡大が頻繁に行われるため、ターゲットへ告知するとともに、具体的な利便性をコミュニケーションする。
    [成長期の特徴とマーケティング戦略]
     売上高: 急成長
     利益水準: 高い
     競合企業: 参入激化
     マーケティング戦略: 商品戦略や価格戦略、流通戦略が重要
  • 成熟期
    マーケットシェア、競争相手がある程度安定し、売上高が逓減を見せ始める。製品間で機能の差がほとんど見られなくなる中でのパイの奪い合いとなるため、市場におけるポジショニングやシェアの防衛が課題となる。企業またはブランドに対する選好イメージを強化し、ブランド・ロイヤリティを高めるためのコミュニケーションが必要。
    [成熟期の特徴とマーケティング戦略]
     売上高: 低成長
     利益水準: 競争激化に伴い低下
     競合企業: 徐々に減少
     マーケティング戦略: プロモーション戦略が重要
  • 衰退期
    売上高、利益、競争相手ともに衰退が表れる。経営的には撤退のタイミングの検討を行うことが必要となる。シェア獲得を目指した説得的なコミュニケーションではなく、保守的顧客に対するメンテナンスや社会的責任を果たすための最小限のコミュニケーションとなる。
    [衰退期の特徴とマーケティング戦略]
     売上高: 市場飽和に伴い低下
     利益水準: ほぼゼロ
     競合企業: 減少
     マーケティング戦略: 価格戦略や商品戦略が重要

製品ポートフォリオ
マーケティングの考え方を社会全体の利益向上を追求するために適用すること。
ソーシャル・マーケティングという言葉には、大きく2つの内容が含まれている。1つは、従来のマーケティングの発想を行政機関の運営や社会変革などに活用しようとするもの。
もう1つは、企業が自社の利益や顧客だけを考えずに、社会全体の利益や福祉向上を意識して活動するという考え方であり、「社会公共志向」のマーケティングとも呼ばれる。

ブランド戦略
マーケティングの考え方を社会全体の利益向上を追求するために適用すること。
ソーシャル・マーケティングという言葉には、大きく2つの内容が含まれている。1つは、従来のマーケティングの発想を行政機関の運営や社会変革などに活用しようとするもの。
もう1つは、企業が自社の利益や顧客だけを考えずに、社会全体の利益や福祉向上を意識して活動するという考え方であり、「社会公共志向」のマーケティングとも呼ばれる。

コモディティ化
市場参入時に高付加価値を持っていた商品の市場価値が、多数の類似商品・サービスが同時に販売されることで商品間の差異がなくなり、市場価値が低下することを指します。

カニパリゼーション
自社の商品が自社の他の商品を侵食してしまう「共食い」現象のことをいいます。
顧客への提供価値が類似する自社製品同士で、それぞれの売上を奪い合ってしまう現象を指す。
ターゲティングやプロダクト間のポジショニングが不十分な際に起こることが多い。


b. 価格戦略

価格は、製造原価を計算してその金額に利益を上乗せして決める方法や、競合他社の価格を参考にして決める方法、消費者が購入すると思われる価格から逆算する方法など様々な方法で決定されます。
特に大切なのは、消費者が「この金額なら買っても良い」という価格であり、どのような価格決定プロセスを経たとしてもその価格を超えると販売が難しくなります。
そして、この価格は消費者が商品をどの程度理解しているかや商品を販売している状況などで変化するため価格の定め方によって、販売に影響が出てきます。利益率を低くして価格を抑え大量に販売する方が良いのか、利益率を高くして少数販売とするかによって設定する価格が変わってくるのです。
また、競合商品の価格も意識しなければなりません。 競合商品と商品の性能や品質の明確な差別化が出来ない場合は、価格が高いことは大きなハンディになるからです。

バリュープライシング
利用者メリットに応じた価格の設定のこと、または、利用者が納得して買う価格の設定

コスト・プラス法 】(原価加算法)
価格決定方式のひとつで、原価に一定比率のマージンをプラスして売価を決定する方法

スキミングプライシング
製品の市場投入時・導入期に高価格を設定し、高収益力を確保するための価格設定のことです。
対象市場全体の上澄みである富裕層などの「高くても買ってくれる顧客」を狙った戦略です。
商品の導入期から高収益力を確保し、投資の早期回収を図ることができます。
スキミング・プライシングとは逆に、市場シェアを獲得するために価格設定をコスト以下、あるいはコストと同等にする価格戦略をペネトレーション・プライシングと呼ぶ。

サブスクリブションモデル
商品やサービスを購入するのではなく、月や年単位などの決まった期間だけ料金を支払って利用するサービス形態です。定額制、使用した分だけ課金される従量制などのモデルがあります。


c. 流通戦略

流通チャネルは、構築するのに時間がかかる上、一度構築するとなかなか変えられない性質を持っているので、戦略は慎重を期する必要があります。
流通チャネルは、自社内部の流通チャネルと、外部の流通チャネルに分けられます。さらに、外部の流通チャネルは、製品の最終使用者(エンドユーザー)と直接接する小売業者と、接しない卸売業者に分けられます。

フランチャイズチェーン 】 (FC)
本部企業(フランチャイザー)による運営の計画、指導、管理のもと、契約を結んだ加盟店(フランチャイジー)が商標や商品・サービス、経営のノウハウを受け、販売活動を行う事業形態です。

ボランタリーチェーン 】 (VC)
商品の共同仕入れを目的として、小売業者や卸売業者が組織化した事業形態です。多くの場合、プライベートブランドを展開しています。

チャネル統合
製品やサービスを必要としている顧客にどう届けるか。販売チャネルという外部と協力して顧客に最適な形で届ける方法が必要になってきた。製造・卸・販売店それぞれが個別に動くより、協力して動く方が効率的である。そのために流通チャネルの統合が必要になってきた。
統合の形態には、大きく3つのシステムがある。

  1. 垂直的マーケティング・システム(VMS:Vertical Marketing System)
    製造から販売までの流通を一本化し、統合的にマネージメントすることで、効率化する方法。
  2. 水平的マーケティング・システム(HMS:Horizontal Marketing System)
    他業種で関連のない企業同士が提携し、協力し合うことで、自社だけで行うよりもより効率的に消費者に届けられるよう新しい市場を開拓していく統合システムである。
  3. マルチチャネル・マーケティング・システム(MMS:Multichannel Marketing System)
    1つの企業が複数の流通チャネルを持てば、チャネルごとに属性やニーズが異なる消費者にアプローチしやすくなる利点がある。
    すなわち顧客との接点を複数持った販売活動のことを言います。

オムニチャネル
オムニチャネルとは、消費者と企業の接点(=チャネル)を統合・連携させ、 販売促進やアプローチを行う戦略のことをいいます。
店舗やECサイトなどのさまざまなチャネルにおいて、商品や流通、そして顧客情報などを一元化することにより、それぞれのチャネル間の相乗効果を最大化することを狙いとした施策のことです。これにより自社商品の販売力強化やブランド力向上を目指します。 商品や在庫などの「モノの一元化」と、顧客情報などの「情報の一元化」によって実現します。オムニチャネルでは、顧客がどのチャネルを利用しても一貫したサービスをうけることが可能


d. プロモーション戦略

企業がいくら素晴らしい製品やサービスを開発しても、消費者がその存在を知らないことには売上は上がりません。そうした意味から、企業の製品の存在やメリットを消費者に伝えるための戦略が プロモーション戦略。
プロモーションの方法には次のようなものがあります。

  • 広告
    広告主が市場に対して一方的に行うプロモーション手段です。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの広告が該当します。
  • 販売促進
    特定の興味・関心を持つ消費者に対する一方的なプロモーション手段です。販売促進には、チラシ、ダイレクトメールなどがあります。
  • 人的販売
    実際に人的資源を使って営業活動をする双方向のプロモーション手段です。訪問販売、営業活動などが該当します。
  • パブリシティ
    マスコミや第三者が公の媒体を使って報道する一方的なプロモーション手段です。広告との違いは、スポンサー企業が費用負担をしないことです。
  • 口コミ
    消費者同士の双方向のプロモーション手段です。

プロモーション戦略には、大きく分けてプッシュとプルの2つがあります。

  • プル型
    マス広告でイメージを発信して顧客を引き付けるものです。日用品のように購買頻度の高いもの、製品だけでの差別化が難しいものに向いた方法です。
  • プッシュ型
    説明・説得により顧客に商品を押し込むものです。生産財など機能が複雑で専門知識に基づいた説明が必要な商品に向いた方法です。

  [ 例題 ] 
  1. 平成30年度春期 問68  プロダクトライフサイクル
  2. 平成28年度秋期 問67  コストプラス法
  3. 平成27年度春期 問69  コストプラス法
  4. 平成26年度秋期 問70  プロダクトライフサイクル
  5. 平成24年度秋期 問68  コストプラス法
  6. 平成22年度秋期 問68  プロダクトライフサイクル


     

www.it-shikaku.jp