Last Update : April 20 2021 15:07:21
a. ファシリティマネジメントの目的と考え方
ファシリティマネジメントとは、コンピュータ、ネットワークなどのシステム環境や施設、設備を最適な状態に維持・保全することである。
データセンタなどの施設とコンピュータシステム・ネットワーク機器などの設備を設計・構築し、それらに関して、保守・修理・運用・廃棄までの活動を行う。
ファシリティマネジメントの目的
- コストミニマム(設備投資、施設運営費の最小化)
- エフェクトマキシマム(効用の最大化)
- フレキシビリティ(将来の発展、変化への柔軟な対応)
- 社会、環境対応
【 カスタマサービス 】
ファシリティマネジメントを実施する職種のこと
b. 施設管理・設備管理
データセンタの施設やコンピュータシステムやネットワーク機器などの設備を適切に管理・運用しなければならない。
ファシリティマネジメントでは、施設や設備の自然災害・火災などによる被害に対する予防処置も行わなければならない。
また、人的脅威などのセキュリティに関する対応も重要
1.耐震耐火設備
- 無停電電源装置(UPS)
停電や瞬断時にシステムへの電源供給が止まらないようにするための予備電源。停電が発生しても一定時間システムに電源を供給することができる。
- 自家発電装置
停電などにより商用電源が使えなくなったときに、電源を供給することができる。
太陽光発電・風力発電・ディーゼル発電・ガス発電装置などがある。
- サージ防護デバイス(SPD:Surge Protective Device)
避雷器・アレスタ・SPDなどと呼ばれる。
瞬間的に大電圧が発生した場合に、コンピュータや精密機器にその過大な電圧が行かないようにするための装置。
雷サージと呼ばれる、落雷などにより、電線や電話線を通って過大な電圧や電流がコンセントに逆流してこないようにする。
サージプロテクト付OAタップ
- AVR(Automatic Voltage Regulator)
定電圧電源装置のこと。
定電圧電源装置は交流の電圧変動を自動的に調整し常に安定した電圧を負荷側に供給する装置です。
- CVCF( Constant Voltage Constant Frequency )
定電圧定周波数電源装置のこと。以前は、計算機システムへの電源供給設備の一種で、入力変動や出力負荷の変化に関係なく、出力の電圧および周波数を一定に保つ装置だったが、いまでは、外部からの電力供給が停止したり入力電圧が低下したりといった場合に、内部のバッテリーなどを利用して電力を供給する機能もあり、安定した電圧、周波数を得ることができるようになっている。
- 免震装置
地震の場合に、揺れを少なくするための装置。機器を揺れによる損害から守ることができる。
建物全体や床全体、または機器の下に設置する場合などがある。
- 防火設備
燃えにくい建材を使用したり、耐火区画を設けたりする。
- 消火設備
早期に火災を発見するため煙検知装置を設置したり、火災が発生した場合にも中の機器を極力痛めないように、通常のスプリンクラー設備ではなく二酸化炭素やハロンガスによる消火設備を設置する。
2.セキュリティ対策
- 入退室管理
施設内・コンピュータ室内への入退室を制限し、記録する。
- セキュリティワイヤ
ノートパソコンや周辺機器の盗難防止のためのロックのこと。パソコンや周辺機器と机などをワイヤでロックし、容易には持ち出せないようにする。
【 ホットアイル/コールドアイル 】
サーバやネットワーク機器は、安定稼働する温度が決まっています。そのため装置内を最適な温度にするための空調設備が必要になります。
ホットアイルとはサーバー・ラックの列で区切られたサーバー室内の空間のうち、サーバーの排熱だけを集めた空間を指す。
コールドアイルは、空調機が送り出してサーバーが吸引する冷気を集めた空間を指す。
ホットアイルとコールドアイルを明確に区分けすることにより、空調機を使って冷却した空気を効率よくIT機器に供給できる。サーバー室内の冷却効率が向上し、空調機が消費する電力を削減できる。
c. 施設・設備の維持保全
設備を定期的に点検し、要・不要を明らかにし、不要な設備に関しては、償却・廃棄し、必要な設備に関しては、導入して移行する。これらのことにより、投資コストと運用コストの削減を図り、設備配置を最適化する。
適切なタイミングで、確実に実施されなければならないため、管理責任者を置き、マニュアルを整備し、明確な維持保全計画に従って作業する。
d. 環境対策
ファシリティマネジメントを行っていくうえで環境への影響も配慮する必要がある。
【 グリーンIT 】
地球環境に配慮したIT製品やIT基盤のこと。あるいは環境保護や資源の有効活用につながるIT利用をいう。一般にIT機器の省電力化やリサイクル性向上などの「ITそのものの環境負荷低減」をいうが、ITを利用して生産や物流の最適化するといった「IT活用による環境負荷低減」を含む場合もある。
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