企業と法務 - 23.法務 - 5.標準化関連 - 6.国際認証の枠組み

Last Update : January 02 2021 16:00:53

     

a. 国際認証の枠組み

ISO規格への適合性を評価し、認証する制度のこと。適合性評価機関として認定された機関によって、認証や試験が行われる。

経済のグロ-バル化、ボ-ダレス化が進む現在の世界においては普遍的な共通の取決めが必要不可欠となるのです。その活動が「標準化」であり、具体的に言えば規格の制定ということになる。
規格の制定により、作り手(= 組織)はより広い市場に、品質の安定した製品・サービスの提供が可能となり、受け手(= 消費者等)は品質の安定した製品・サービスの供給を受けることができる。
組織(供給者)が生み出す製品やサ-ビス(工程・システム)を、規格や基準(標準)に基づいて評価することを「適合性評価(Conformity Assessment)」と呼ぶ。その対象としては

  • 製品認証・・・製品の規格への適合性を評価する
  • 要員認証・・・溶接技能者や非破壊検査技能者などの人の技量に関する規格に対する適格性を評価する
  • マネジメントシステム審査登録・・・組織(企業等)などの品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステム規格への適合性を評価する
  • 試験・校正・・・科学的な方法によるもの
  • 検査・・・簡単な装置あるいは五感による判断を含めたもの

などがある。
ここでいう「認証(Certification)」とは、製品、プロセス、サービスが特定の要求事項(基準・標準・規定)に適合していること、つまり“適合性"を第三者が文書で保証する手続きを指す。ISO9001やISO14001のようなシステム規格への適合性を保証する場合、システム以外の認証と区別するため、「審査登録(Registration)」という用語を使うこともある。
第三者(機関)が認証を行う際に、その第三者(機関)が行った適合性評価が不適格なものとならないように、中立的な立場で審査する必要がある。このように認証機関の能力を審査することを「認定(Accreditation)」と言う。

1998年5月に、IAF(International Accreditation Forum, Inc.国際認定機関フォーラム)において、17カ国で国際相互承認協定が締結された。日本からは(財)日本適合性認定協会(JAB)が参加している。これにより、加盟国の認定機関同士の相互承認が実現し、JABに認定された審査登録機関は外国の認定機関からの認定が不要になった。 このILAC「相互承認取決め」により、これまで地域試験所・校正機関認定協力域内に留まっていた相互承認が、グローバルな相互承認に発展することとなり、その認定を受けた試験・校正事業者が発行する試験・校正証明書もグローバルに相互受入れされることになった。 これらの機関で行われた国際相互承認の考え方をワンストップ・テスティング(One stop testing, accepted worldwide)と言う。

認証機関
「認証機関」では、ISOなどで決められた国際標準の内容に基づき、企業が適切な管理と活動を行っているかを、完全に独立した立場から公平・公正に確かめる。その結果、きちんとした仕組みができていることを確認できた企業には、それを証明する「登録証」を発行する。この一連の手続きを「認証」と呼ぶ。

「認証」を受けた企業は、「登録証」を提示したり、さまざまな場面で「認証」されていることを公表することで、「品質管理や環境に配慮する仕組みを整え、社会のニーズや意識の変化を正確にとらえて対応し、日々取り組みの向上に努めている」ことがPRできる。また、利用する側も「認証」を確かめることで、信頼できる製品やサービスを提供してくれる企業を、簡単に見つけることができるようになる。

ただ、市場には数多くの製品、サービス、企業などがあるため、これらを調べる「認証機関」は一つではない。それら多くの「認証機関」が異なる判断で「認証」を行うと信頼を損ねる場合がある。

この「認証」への信頼を支えているのが、「認定機関」になる。

認定機関
認定機関では、「認証機関」が企業などを調べるとき、国際標準に基づいて公平・公正な「認証」を行う力があるかどうかを確かめる。提出された書類の審査はもちろん、実際に調べている現場にも立ち会い、認証する力を見極める。その結果、認証する力があると確認できた「認証機関」には、それを証明する「認定証」を発行する。この一連の手続きを「認定」と呼びます。認定したあとも、認定期間は定期的に「認証機関」を調べ、認証する力が保たれていることを確かめている。

また、「試験所」の「認定」も行っている。「試験所」とは、食品の安全性試験、家電製品の電気試験、機械・物理試験、医療診断のための血液検査など、日々の暮らしを支えるさまざまなものの試験を行っているところ。「試験所」に信頼できる試験データを出す技術的な能力と仕組みがあるかどうかを確かめ、国際基準にあっている「試験所」には「認定証」を発行して、そのことを証明する。

「認証機関」や「試験所」を「認定」する活動を続けるため、認定機関自身も世界各国の「認定機関」から国際標準に基づいた評価を受け、認定する力が備わっていることを証明してもらっている。このように認定機関が国際標準に基づいた評価を受け、証明してもらうことで、認定機関が「認定」した「認証機関」の「認証」や「試験所」の発行する「試験報告書」は、日本国内だけでなく、世界に通用するものとなっている。




     

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