企業と法務 - 23.法務 - 4.その他の法律・ガイドライン・技術者倫理 - 4.その他の法律・基準

Last Update : January 02 2021 16:00:53

     

a. ネットワーク関連法規

電気通信事業法
電気通信事業を営む上での基本事項を定めた法律。電気通信サービスの円滑な提供と、利用者の利益保護を目的としている。検閲の禁止や秘密の保護などの義務や、事業の登録、料金や契約約款の届け出と認可、電気通信設備などの必要事項が規定されている。

電波法
電波の利用に関する規則を定めた法律。電波の公平かつ効果的な利用を確保することを目的としている。無線局の免許や登録、運用を規定している。無線LANで利用できる周波数なども規定されている。

プロバイダ責任法
企業と法務 - 23.法務 - 2.セキュリティ関連法規 - 3.プロバイダ責任法 を参照

通信傍受法
日本国憲法で検閲の禁止や通信の秘密を守ることが定められているが、組織的な犯罪や一定の犯罪においては、通信を傍受しなければ捜査が困難になる。そのため捜査に必要と認められた場合に限り、捜査機関が通信の傍受を可能としている法律。
傍受の対象は、電話だけでなく電子メールなどの情報通信ネットワークによる通信も含まれる。


b. 金融商品取引法

株式や国債・社債などの有価証券の発行および金融商品の取引などの公正を確保し、経済の健全な発展および投資者の保護を目的とした法律。
企業内容などの開示、金融商品取引を行うものに関する必要事項、金融商品取引所の運営などに関する事項が決められている。
取引に関するルールを規定し、有価証券報告書や内部統制報告書などの提出を義務付けている。


c. 会社法

会社の設立、組織、運営及び管理などについて、規定した法律。
会社法では、各事業年度において、貸借対照表・損益計算書などの計算書類及び事業報告の作成補義務付けている。また、この事業報告には業務の適正性を確保するための体制である内部統制の内容を記載する必要がある。
会社法では、コーポレートガバナンス(企業統治)を実現させるためのそれぞれの機関を以下のように定めている。

  • 取締役会設置会社
    取締役会を置く株式会社及び会社法の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう
    • 株主総会
      株式会社の最高意思決定機関で、取締役・監査役の選・解任など、株式会社の組織・運営・管理などに関する重要事項を決定する機関。株主総会には、決算期ごとに開催される年1度の定時総会と、必要に応じて随時開催される臨時総会がある。
    • 取締役
      株式会社の業務執行を行う機関
    • 取締役会
      3人以上の取締役によって構成され、代表取締役の選任をはじめ重要な業務について意思決定を行う機関
    • 監査役
      取締役の職務執行や会社の会計を監査する機関
  • 委員会設置会社
    委員会設置会社は、従来の株式会社とは異なる企業の統治制度(コーポレートガバナンス)を有する。取締役会の中に社外取締役が過半数を占める委員会を設置し、取締役会が経営を監督する一方、業務執行については執行役にゆだね、経営の合理化と適正化を目指した。
    業務執行と監視役を担う組織を明確に分離し、コーポレートガバナンスが十分に機能するよう設計されたのが、委員会設置会社。
    委員会設置会社は、監査役を設置することができない。実は、監査役の設置を禁止されているのは、委員会設置会社だけである。通常の会社では、監査役が行う業務を委員会で行う。 また、委員会設置会社は、会計監査人を必ず設置しなければならない。なお、コーポレートガバナンスの視点から、執行役と監査員を兼任することは認められていない。
    • 株主総会
      取締役会設置会社とおなじ
    • 取締役会
      取締役会の権限は、業務意思決定と、個々の取締役及び執行役による職務執行の監督である。この点については従来までの取締役会とさほど変わりはない。委員会設置会社における特徴として、取締役は原則として業務の執行をすることはできない(執行役にゆだねられる)。ただし取締役は執行役を兼任することができる。
    • 執行役
      執行役は、実際の業務を執行するだけでなく、取締役会から委任を受けた事項について自ら業務の執行の決定を行う。取締役会が執行役に委任できる事項は、従来型の制度と比べて極めて広範に及ぶ。これによって、委員会設置会社では、執行役による迅速な業務執行が可能になる。

d. 税法

法人税法
法人税とは、法人が得た利益(正確には所得といいます)に対して課される税金のこと。その法人税に関することを取り決めているのが法人税法。
法人税を納める義務のある法人は、大きく分けて、内国法人と外国法人に分かれる。
内国法人とは、国内に本店か、主たる事務所のある法人のこと。

  • 内国法人
    法人税法では、「公共法人」、「公益法人等」、「協同組合等」、「人格のない社団」及び「普通法人」に区分している。
    • 公共法人
      国立大学法人、独立行政法人、日本中央競馬会、日本放送協会などの公共の性格を持つ法人のこと。
      この公共法人には、法人税は課税されない。
    • 公益法人等
      宗教法人、学校法人、社会福祉法人、社会医療法人、健康保険組合等、公益を目的とする法人のこと。
      この公益法人は、収益事業を営む場合に、低率で法人税が課税される。
    • 協同組合等
      農業協同組合、消費生活協同組合、信用金庫等の組合員の相互扶助を目的とする法人のこと。
    • 人格のない社団等
      PTA、同窓会、同業者団体など法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものをいう。
      法人とみなして、収益事業にたいして課税される。
    • 普通法人
      上記の「公共法人」、「公益法人等」、「協同組合等」及び「人格のない社団」以外の法人のこと。
      株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、医療法人、企業組合などがこれに該当する。
      すべての所得に対して法人税が課税される。
  • 外国法人
    外国法人とは、内国法人以外の法人のこと。
    国内源泉所得(国内において行う事業から生じ、または国内にある資産の運用、保有もしくは譲渡により生ずる所得)に法人税が課税される。

消費税法
消費税の課税対象、納税義務者、計算方法、申告、納付及び還付手続きなどに関することを規定しているのが消費税法
消費税とは商品等の販売やサービスなどに対して課される税金のこと。価格に上乗せされ、消費者が負担する仕組み。
消費税は、物品およびサービスの消費に広く負担を求めるというもので、非課税取引を除いて、国内での商品やサービスのほとんどすべての取引に課税される。
外国との取引では、輸出には外国人に消費税を負担させることは馴染まないことから非課税となる(税法上は「輸出免税」と称している)が、一方、外国から輸入するものについては外国貨物を保税地域から引き取ったときに課税される。
原則、納付税額は事業者が次の計算により課税期間の納付すべき消費税額を算出して納付する。
納付すべき消費税額等 = 課税売上に係る消費税額 - 課税仕入に係る消費税
つまり、消費者より預かった売上代金に含まれる消費税を、仕入代金や販売費および一般管理費等の代金に含まれる消費税を控除した残りが納付すべき消費税額等となる。
消費税額等の「等」とは、平成9年4月から従来3%のところ5%増税され、そのうち1%が地方消費税が含まれることになったことから、「等」は地方消費税を意味する。つまり、5%の内訳は、4%が国税、1%が地方税になる。


e. e‐文書法

民間事業者に対して法令で定められている書面の保存に関する方法を、一部の例外を除き、電磁的に記録した電子文書で保存することを可能にした法律のこと。
「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(通則法)と「民間事業者等が行う書面の保存における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備などに関する法律」(整備法)の2つを総称してe-文書法(電子文書法)という。


f. 電子帳簿保存法

法人税などの国税関係帳簿書類について、承認を受けた場合に、電磁的記録による保存を認めた法律。
企業活動を行う上で作成する帳簿類は、これまで紙の状態で7年間保存することが義務付けられていた。この帳簿書類は相当な量となるため、保管のために大きなコストを負担せざるを得なかったので、書類の量を減らすために、これまでは7年間のうち、後の5年間はマイクロフィルムやCOM(Computer Output Microfilm)での保管が認められていただけだが、電子データとして保存することも許されるようになった。
さらにe-文書法に対応して、紙の書類をスキャニングにより電子データ化して保存することも認められるようになった。 しかし、一部の帳簿や書類は該当せず、特に重要な文書であるとして引き続き紙による保存を求めているものもある。


g. PL法(製造物責任法)

製造物の欠陥により、人の生命・身体または財産に被害が生じた場合に、製造者などの損害賠償責任を定めた法律
企業は製品の欠陥や説明不足などで、消費者の生命・身体・財産に損害を与えた場合は過失がなくとも賠償責任に問われる。ソフトウェアの欠陥だけでは責任は問われない。但し、ソフトウェアの欠陥によりハードウェアの誤動作で上記のような損害を与えた場合は責任が問われる。


h. 情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)

国の行政機関や独立行政法人が保有する行政文書の開示を請求する権利を定めた法律。
これらの情報を公開することで、国民の知る権利にこたえ、行政の国民に対する説明責任を果たすことを目的としている。


i. 環境関連法

環境関連法とは、「環境基本法」を頂点として、数多くの個別法で構成されています。
従来の環境関連法は、出口規制(END OF PIPE)と呼ばれ、対象となる事業所の排ガスや廃水、騒音、振動等といった「典型7公害」の対策が中心でした。
しかし、近年、環境問題が対象事業所周辺から地球規模にまで広がり、また、資源減少や廃棄物の深刻な問題が発生してきました。
こうした状況の中で「環境関連法」も、各種リサイクル法、PRTR法などといった新しい法律を加え、「循環型社会」の形成を目指しています。

廃棄物処理法
廃棄物の排出を抑制し、廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生(リサイクル)、処分等の処理をし、ならびに生活環境を清潔にするための法律
この法律は、廃棄物の処理基準、廃棄物処理業、廃棄物処理施設などについての規定を置き、罰則を定めて、監督している。
廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分けられる。後者は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で指定する廃棄物に限られる。一般廃棄物はそれ以外のものである。

リサイクル法
資源、廃棄物などの分別回収・再資源化・再利用について定めた法律をいう。
日本では、対象の種類ごとに、いくつかの法律に分かれている。

  • 容器包装リサイクル法
    瓶・缶・包装紙・ペットボトルなどの分別回収や再資源化を促進。容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律のこと。
  • 家電リサイクル法
    エアコン・洗濯機・冷蔵庫・テレビなどの家庭用の電気製品(使用済)について製造業者・輸入業者に回収と再利用を義務化。特定家庭用機器再商品化法のこと。
  • 建設リサイクル法
    コンクリートや木材の再資源化を促進。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律のこと。
  • 食品リサイクル法
    食品に関する製造業者・加工業者・販売業者に食品のゴミの再資源化を促進。食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律のこと。
  • 自動車リサイクル法
    使用済自動車の解体時に部品などについて製造業者・輸入業者に回収処理を義務化。使用済自動車の再資源化等に関する法律のこと。
  • パソコンリサイクル法
    使用済パーソナルコンピュータの回収と再資源化を図る。資源の有効な利用の促進に関する法律のこと。

j. 国際基準,輸出関連法規

IT機器の輸出について、日本では外国為替及び外国貿易法(外為法)で、戦略兵器への転用可能性のある機械関連製品(コンピューター・通信機器を含みます)については、原則としては輸出許可を取得しない限りは、輸出できないこととされています。もっとも政令で、一般的に輸出しても問題ないとされている物品が多数指定されており、マイコン程度の製品であれば、高度な暗号機能を搭載している場合でない限り、多くの場合には例外として輸出許可が不要とされています。 しかし更にその例外として、仕向地がイラン、イラク、リビア、北朝鮮の場合には、価格が5万円を超える製品については、輸出許可を別途取得しないと、輸出が不可能とされています。


  [ 例題 ] 
  1. 平成24年度春期 問80  製造物責任法
  2. 平成21年度春期 問80  コンピュータ不正アクセス対策基準
  3. 平成13年度春期 問80  製造物責任法


     

www.it-shikaku.jp