企業と法務 - 22.企業活動 - 2.OR・IE - 6.検査手法

Last Update : January 02 2021 16:00:51

     

a. 検査手法

抜き取り検査
抜取検査は、製品を検査するときに検査対象の全体から一部を抜き取って行う方式を言う。
これに対して、製造した製品の全てを検査する方式を全数検査と言う。
抜取検査は、対象とする有限のロット(母集団:ロットの大きさN)から、予め決められた抜取検査の方式に従って、サンプル(試料:サンプルの大きさn)を抜き取り(サンプリング)、測定や試験を実施し、そのサンプルの結果をロットの合否判定基準(合否判定個数C)と比較してそのロットの合否を判定する方法になる。

OC ( Operating Characteristic :検査特性)曲線
OC曲線とは、サンプル検査による場合のロットの品質と合格確率の関係を示した曲線。 検査特性曲線と訳される。
n(サンプル数)とc(不適合品数)を固定して、不適合品率(p%=c/n)を横軸に変動させたグラフをOC曲線と言う。
サンプル検査の母集団の実際の状態と、サンプリング結果には、サンプリングの誤差が生じるため、その結果の差が生じる。この差を表現するために母集団の状態と検査結果(合格率)をプロットした図がOC曲線である。
OC曲線では、横軸にロットの不良率(母集団の不良率)を取り、縦軸にその不良率のロットが検査で合格する確率をとる。 ロットの不良率がゼロであれば、検査合格確率は100%、ロットの不良率が100%であれば検査合格確率は0%であるから、OC曲線は右下がりの曲線となる。
不良率が低くなれば合格する確率は高くなりますが、良い品質のロット(たとえば不良率1%)でもすべて合格はしない。 また、反対に悪い品質のロット(たとえば不良率6%)でも合格するロットはある。
当然ながら、サンプルサイズが大きくなるほどサンプリング誤差は小さくなるが、サンプルサイズを大きくすることは検査コストの増大を招くことになる。そのため、抜取検査の設計にあたっては、どこまで誤差を許容するのか(生産者危険と消費者危険をどこまで許容するのか)を定義する必要がある。

  • 生産者危険(α):合格としたい不良率のロットを抜き取り検査で不合格とする誤り。
    「慌て者の間違い」とも呼ばれ、良品であるのに不良品と判定する誤り率。
  • 消費者危険(β):不合格としたい不良率のロットを抜き取り検査で合格とする誤り。
    「ぼんやりものの間違い」とも呼ばれ、不良品であるのに良品と判定する誤り率。


故障率曲線(バスタブ曲線)
グラフの縦軸に故障率をとり、横軸に期間(時間)をとって、故障率を打点すると、その形状は西洋のバスタブのような曲線となる。一般に、この曲線は、その形状から、バスタブ曲線と呼ばれる。

  • 初期故障
    故障率は使いはじめに大きく(バスタブの上端部分)、時間がたつと急激に減少していく(バスタブの側壁部分)。この期間の故障は初期故障と言い、故障原因は設計不良、製造不良、材料欠陥または環境との不適合など。この期間は初期故障期間と呼ばれる。 多くの場合、初期故障期間は保障期間より短いが、保障期間より長い場合もある。 製品によっては、試運転を行ってその間に初期故障を起こした製品は出荷しないこともある。
  • 偶発故障
    初期故障期間を過ぎると、故障率はほぼ一定の小さい値となり、長時間続く(バスタブの底の部分)。この期間の故障は偶発故障と言う。 そして、この期間は偶発故障期間と呼ばれる。
  • 磨耗故障
    寿命に近づくと、磨耗、疲労、劣化などによって故障率は急激に大きくなっていく(バスタブの他端の側壁部分)。寿命までのこの期間の故障は磨耗故障と言う。この期間は磨耗故障期間と言う。

シミュレーション
現実に想定される条件を取り入れて、実際に近い状況を模擬的に作り出して実験し、解を求める手法。

モンテカルロ法
解析的には解けない問題に対して、ランダムな実験を多数回繰り返し、その結果をもとに近似的に答を求めようとする方法である。


  [ 例題 ] 
  1. 平成26年度秋期 問15  ライフサイクル
  2. 平成18年度秋期 問75  OC曲線
  3. 平成12年度春期 問55  故障率


     

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