Last Update : April 17 2021 11:55:52
a. ITIL(Information Technology Infrastructure Library) 2011 Edition
英国政府が IT サービス運用の最優良事例をまとめたガイドブックから始まった、情報システムの運用や管理を行うためのガイドライン。ITIL をベースにして、ISO20000 として標準化されている。
質の高いITサービス管理(ITサービスマネジメント)を提供するためのベスト・プラクティスを集めたフレームワーク。ITシステムとその運用管理を業務の遂行を手助けする「ITサービス」ととらえ、サービスをユーザーの要求に応じて適切に提供すること、高い投資対効果で継続的に改善していくことを目指している。
ITIL 2011 Editionは「設計、開発、変更、リリース、運用、改善、廃棄に至るプロセス全体をカバーするサービスライフサイクル・モデルを採用している。
ITIL 2011 EditionではユーティリティとワランティのバランスがITサービスに不可欠であること。双方が十分に提供されてこそ、ITサービスの価値創出がなされるとしている。
ユーティリティとは、ITサービスの機能的側面であり、ビジネスの目標達成にはこれらのパフォーマンスや機能の充足性が必要不可欠になる。
ワランティは、ITサービスの非機能的側面である。可用性、キャパシティ、継続性およびセキュリティについてITサービスの品質を表すものであり、ワランティの向上なくして有益なITサービスを提供することはできない。
ITIL 2011 Editionは、5つのサービスライフサイクルと26のプロセスから成り立っている。
- サービス戦略(サービスストラテジ:Service Strategy)
ITサービスやITシステムを、組織がその業務を遂行する上で必要な戦略的資産としてとらえ、サービスマネジメントをいかに設計し、開発し、提供するかということについて書かれている。
ITサービス全体をビジネスと同じレベルから俯瞰して長期的な戦略を立てることに重きを置いている。
サービス提供先となるビジネス領域の特定、提供サービスの決定、サービス提供に必要な資源の準備に関する説明を含んでいる。
サービス戦略のプロセスには、
- ITサービス戦略管理
- サービス・ポートフォリオ管理
- ITサービス財務管理
- 需要管理
- 事業関係管理
がある。
サービス提供先となるビジネス領域の特定、提供サービスの決定、サービス提供に必要な資源の準備に関する説明を含んでいる。これらはサービスレベルパッケージとしてサービス設計に引き渡される。
- サービス設計(サービスデザイン:Service Design)
費用対効果の高いITサービスソリューションとプロセスの設計について書かれている。
サービスデザインでは、サービスに必要な要素が一通り含まれるようにプロセスが設けられており、
- デザイン・コーディネーション
- サービス・カタログ管理
- サービスレベル管理
- 可用性管理
- キャパシティ管理
- ITサービス継続性管理
- 情報セキュリティ管理
- サプライヤ管理
などがある。
これらはサービスグループとして定義され、以後はこのグループ単位でサービスが管理される。
- サービス移行(サービストランジション:Service Transition)
新規および変更されたITサービスをいかに適切に運用に移行させるかについて書かれている。本番環境への移行にともなう中断や移行を原因とした障害などをコントロールしつつ、ITサービスを実稼働に導くための手引きである。
ここには、以下のプロセスがある。
- 移行の計画立案およびサポート
- 変更管理
- サービス資産管理および構成管理
- リリース管理および展開管理
- サービスの妥当性管理およびテスト
- 変更評価
- ナレッジ管理
ITサービスはこの段階で、これらのプロセスを経ることにより、ITサービスは運用段階になる。
- サービス運用(サービスオペレーション:Service Operation)
日々のサービスを安定して提供するための管理プロセスについて書かれている。
プロセスとして以下があり、
- イベント管理
- インシデント管理
- 要求実現
- アクセス管理
- 問題管理
機能として以下がある。
- サービスデスク
- 技術管理
- アプリケーション管理
- IT運用管理
これらによりPDCAサイクルのベースとなる活動が定義されている。
- 継続的サービス改善(Continual Service Improvement)
サービスの継続的な改善と、サービス廃止にまつわる課題について書かれている。
ITサービスライフサイクルのいずれの段階においても、障害個所や弱点に対する改善機会を見つけ出し、顧客に対してより良いITサービスを提供する方法が書かれている。
プロセスとして、
がある。
【改善のための7ステップ】
- ステップ1:何を測定すべきかの定義
- ステップ2:何を測定できるかの定義
- ステップ3:データの収集
- ステップ4:データの処理
- ステップ5:データの分析
- ステップ6:情報の提示と利用
- ステップ7:是正措置の実施
【 ベストプラクティス 】
経営や業務などの作業で最も優れた手法のこと
【 プロセスアプローチ 】
業務をプロセスという単位に分け、横断的に管理し、プロセスごとの役割と責任を明確にしている。業務単位、サービス単位で実施されていた作業をプロセス単位で横断的に管理する事で組織の活動に対して目的・目標が達成できるようにコントロールすることができる。