開発技術 - 12.システム開発技術 - 4.ソフトウェア方式設計・ソフトウェア詳細設計 - 9.ソフトウェア品質

Last Update : April 12 2021 22:24:50

     

a. ソフトウェア品質

JIS X 25010 ( ISO/IEC 25010 ) が定めている品質特性
ソフトウェア品質に関する規格は、ISO/IEC 25000~25099の番号が割り当てられており、「SQuaRE(Software Quality Requirements and Evaluation)」と呼ばれています。
品質モデルとは、品質要求を定義し評価するための枠組みであり、品質を分類・整理するためものです。
JIS X 25010では、2つの品質モデルが定義されています。システムは、ステークホルダー(利害関係者)と呼ばれる、システムを利用するさまざまな人々が持つ明示的なニーズと暗黙的なニーズを満たす必要があり、満たすことが品質であると考えられます。この品質を特性ごとに分類したのが品質モデルで、この規格では「製品品質モデル」と「利用時の品質モデル」の2つが定義されています。 品質特性として、
 ・利用時の品質モデル
 ・製品品質モデル
があり、それぞれに品質副特性があります。

(a) システム・ソフトウェア製品の品質モデル

  • 機能適合性・・・どれだけの要求がソフトウェアにより実装されたかを示す特性。
     副特性:機能完全性、機能正確性、機能適切性
  • 信頼性・・・ソフトウェアがどれだけの期間稼動を続けるかを表す特性。
     副特性:成熟性、可用性、障害許容性(対故障性)、回復性
  • 使用性・・・使用者がどれだけ使いやすいかを評価する特性。
     副特性:適切度認識性、習得性、運用操作性、ユーザーエラー防止性、ユーザーインターフェイス快適性、アクセシビリティ
  • 性能効率性・・・どれだけ手間のかからないソフトウェアであるかという特性。  副特性:時間効率性、資源効率性、容量満足性
  • 保守性・・・ソフトウェアの変更にどれだけの労力が必要かという特性。
     副特性:モジュール性、再利用性、解析性、修正性、試験性
  • 互換性・・・ソフトウェアが他製品やシステムと機能や情報を共有、利用できる特性。
     副特性:共存性、相互運用性
  • 移植性・・・ソフトウェアを別の環境へ移す際、いかに容易に移植できるかの特性。
     副特性:適応性、設置性、置換性
  • セキュリティ・・・ソフトウェアがセキュリティ上のリスクにどれだけ対応しているか。
     副特性:機密性、インテグリティ、避妊防止性、責任追跡性、真正性

(b) 利用時の品質モデル

  • 有効性・・・利用者が指定された利用の状況で、正確かつ完全に、指定された目標を達成できるソフトウェア製品の能力
     副特性:有効性
  • 効率性・・・利用者が指定された利用の状況で、達成すべき有効性に対応して、適切な量の資源を使うことができるソフトウェア製品の能力
     備考:資源には、作業を完了するまでの時間、利用者の労力、材料又は使用した費用を含めることができる
     副特性:
  • リスク回避性・・・利用者が指定された利用の状況で、人、事業、ソフトウェア、財産又は環境への害に対して、容認できるリスクの水準を達成するためのソフトウェア製品の能力
     備考:リスクは、一般に、機能性(セキュリティを含む)、信頼性、使用性又は保守性の欠陥の結果である
     副特性:
  • 満足性・・・指定された利用の状況で、利用者を満足させるソフトウェア製品の能力
     備考:満足性は、製品を対話的に利用したときの利用者の反応であり、製品の利用を含む
     副特性:実用性、信用性、快感性、快適性
  • 利用状況網羅性・・・指定された利用の状況で、利用者を満足させるソフトウェア製品の能力
     副特性:利用状況完全性、柔軟性


  [ 例題 ] 
  1. 平成22年度春期 問52  ソフトウェアの品質特性
  2. 平成21年度秋期 問54  品質管理
  3. 平成10年度秋期 問65  ソフトウェアの品質特性


     

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