技術要素 - 10.ネットワーク - 5.ネットワーク応用 - 5.通信サービス

Last Update : April 12 2021 22:27:13

     

a. 通信サービス

ADSL 】(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線)
ADSL は既存のアナログ電話回線(メタリックケーブル)を使って、高速なデータ通信を行う方法です。
下り(電話局 → 加入者宅)のスピードが速く(1.5~12Mbps)、上り(加入者宅 → 電話局)が遅い(64~800kbps)、上りと下りのスピードが非対称の速度で行う。
音声通話とデータ通信を同じ回線で行うが、音声通話(4kHz以下)で使用しない高い周波数(26kHz以上)でデータ通信を行う。そのため、加入者宅のモジュラージャックにはスプリッターと呼ばれる信号分離器の設置が必要。スプリッターにADSL モデムを設置する。
ADSL モデムは、アナログ信号とデジタル信号の変換を行う。
ADSLは、既存の電話回線インフラを利用できるため、手軽にブロードバンド環境を手に入れられるというメリットがあります。 しかし、その技術的な特性上、ノイズに弱いという欠点があります。 一般的に、電話局からの距離が短い場所では、理想的なスループットを出せますが、電話局から離れるにしたがってスループットが落ちていく傾向があります。 場合によっては、設置すらできないこともあります。

ATM
 ATM( Asynchronous Transfer Mode )は、非同期通信モードで、セルリレー技術を使って 53 バイトの固定長データの「セル」に分割して通信を行う。別名「セルリレー」とも呼ばれる。
セルの検出・交換はハードウェアで行なうことができるため、フレームリレーよりも高速に情報を転送することができる。また、固定長のデータを非同期に転送するという特性により、速度の異なる回線をまたがる転送でも、特別な技術を用いることなく柔軟に対応することができる。
数 M ビット~数 G ビットの高速通信ができ可能で、音声、画像、動画などのマルチメディア伝送に使用される。

IP電話
インターネットの回線を利用して、音声を伝送する仕組み。インターネット回線を使用することで利用料金や設備コストを抑えることができる。距離による通話コストの違いがなくなるので、長距離ほどコストをより低く抑えることができる。
VoIPの技術を利用して、音声をインターネット網へ流すことができる。IP電話には、IP網と電話機の接点に音声符号化や発着信制御(相手呼び出し制御等)を行なうためのVoIPゲートウェイ(プロトコル変換装置)と呼ぶ装置がある。 ゲートキーパとは、VoIPネットワークにおいて、電話番号とIPアドレスの対応を運用・管理する機器、機能です。一般公衆電話と音声通話を可能にするために必要です。
通話手順(例:IP 電話相互間の呼び出し~着信まで)

  1. 電話相手の電話番号をダイヤルする。(呼び出し)
    例050-xxxx-yyyy
    ・記号説明050:サービス識別番号(3桁)
    xxxx:事業者識別番号(4桁)
    yyyy:加入者番号(4桁)
  2. VoIPゲートウェイが電話の呼び出し信号を制御します。
  3. VoIPゲートウェイが相手の電話番号に対応するIP アドレスをゲートキーパ ーへ問い合わせる。
  4. ゲートキーパーは、相手のIP アドレスをVoIPゲートウェイへ通知する。
  5. VoIPゲートウェイが相手電話を管理するVoIPゲートウェイに呼び出し信号を送信する。
  6. 相手電話のVoIPゲートウェイが相手電話を呼び出す。
  7. 相手電話が着信ベルを鳴動させる。(着信)
  8. 受話器をとって通話が出来る状態になる。(音声をIP パケットへ変換可能とする)
  9. 通話終了(回線切断)

SIP 】(Session Initiation Protocol)
VoIPを応用したインターネット電話などで用いられる、通話制御プロトコルの一つ。1999年3月に発表された規格で、H.323など同様のプロトコルがある。転送機能や発信者番号通知機能など、同様のプロトコルと比べて公衆電話網に近い機能を備え、接続にかかる時間も短くなっている。また、各端末に割り当てられるアドレス形式が電子メールアドレスの形式に近く、将来的には共通化も可能とされている。

CATVインターネット
CATV(Community Antenna TeleVision )は、テレビの有線放送サービスである。最近は多チャンネルや電話サービス、インターネット接続サービスなども行っている。
CATV の回線には、同軸ケーブルと光ファイバケーブルの両方がある。
ADSLと同じようにスプリッタ(TV放送波とデータ通信の分離のため)とケーブルモデムを使用する。 1本の回線を複数の利用者が共有する形になる。

FTTH 】(Fiber To The Home)
光ファイバを使用して最大100Mビット/秒の伝送速度を実現する技術。「FTTC」は基幹バックボーンを光ファイバで構成すること。「FTTH」は交換局から家庭へと光ファイバを敷設すること。現在、FTTCはほぼ完了しています。

ISDN 】(Integrated Services Digital Network)
サービス統合ディジタル網のこと。複数の通信路をまとめて 1 回線としたもの。
基本インターフェースと一次群速度インターフェースがある。
家庭用のISDNでは、2 本の B チャネルと、1 本の D チャネルからなる。
1 つの B チャネルの通信速度は 64kbps になる。
B チャネルが通信データを流す線で、D チャネルでは制御情報を流す線になる。
ISDN に接続するためには、DSU とターミナルアダプタ( TA )を利用する。
DSU (Digital Signal Unit)は、デジタル回線終端装置とも呼ばれ、ISDN回線の終端に必ず取り付けられる装置。 ISDNはデジタル信号で通信しますが、局から加入者宅までの信号、加入者宅の屋内での信号はそれぞれ異なる。 この信号の変換や、過電圧保護などを行うのがDSUの働きです。
DSUからパソコン側へ送出される信号は、ISDN対応端末専用のものであり、そのままパソコンで受け取ることはできません。 DSUとパソコンとの間にTA(Terminal Adapter)を接続し、パソコンで扱うことができる信号へ変換する必要があります。

フレームリレー
パケット交換を高速したサービス。データをフレームに分けて送信し、高速化を図っている。パケット交換(X.25)の誤り制御を簡略化して高速にしたもの。

専用線
送信元と受信先が 1 対 1 で結ばれている回線のこと。送信元と受信先が固定されている。
通信回線を電気通信事業者から借受、占有して使用することができる。
通信料金は距離や通信速度で決められる。

回線交換方式
交換機が間に入り、送信元と受信先を接続して通信する。接続先はその時々で変えることができる。
接続中は送信元と受信先は回線を占有することができる。
公衆電話回線はこの回線交換方式になっている。
通信料金は、接続している時間により決まる。

パケット交換方式
データをパケットと呼ばれる単位に分割して送信する方式。
パケットごとに送信先の宛先が記録されていて、その情報を元にデータが届けられる。
パケット交換方式では、複数の端末が回線を共有して使用することができる。
パケットを交換機のメモリに一旦蓄積しある程度たまったところで、送信するので、回線交換方式に比べて通信の遅延が生じる。
通信料金は、パケットのデータサイズで決まる。

モバイル通信
ノートパソコンやPDA・携帯電話などのモバイル端末から、データ通信カードなどを利用して、データを通信するサービスのこ
移動体通信の規格
・3G…第三世代移動体通信
・LTE…第三世代移動体通信をさらに高速化したもの
・4G…第四世代移動体通信
・VoLTE…LTEを利用した高品質な音声通話サービス。Voice over LTEの略

キャリアアグリケーション
高速化通信を実現するため、複数の異なる周波数を同時に利用して通信を行うこと

衛星通信サービス
衛星を使って、インターネットに接続するサービスのこと。

広域Ethernet
広域イーサネットは基本的にはLANスイッチ(レイヤ2スイッチ)を用い、遠隔地にあるLAN同士を接続するWANのこと。
広域イーサネットはレイヤ2(データリンク層)でLANスイッチ(L2スイッチ)を介してMACフレームにより通信を行なう。

IP-VPN
IP-VPNとは、通信事業者の閉域IPネットワーク網を通信経路として用い、拠点間を専用線でつないだようなWANを構築できるサービスのこと。
IP-VPNはレイヤ3(ネットワーク層)でルータを介してIPパケットにより通信を行なう。


  [ 例題 ] 
  1. 平成22年度春期 問35  ADSL
  2. 平成20年度春期 問35  IP電話
  3. 平成20年度春期 問36  ADSL
  4. 平成17年度春期 問54  ADSL
  5. 平成15年度春期 問66  電話回線
  6. 平成11年度春期 問49  ディジタル回線終端装置


     

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