技術要素 - 10.ネットワーク - 3.通信プロトコル - 1.プロトコルとインタフェース

Last Update : April 14 2021 16:53:54

     

a. TCP/IP

通信プロトコル

通信プロトコル(通信規約)とは、端末同士が通信を成り立たせるための約束事のことである。
通信プロトコルは、国際標準化機構(ISO)が定めたOSI参照モデルに則って構成されている。

OSI基本参照モデルとTCP/IPプロトコルの関係

 OSI基本参照モデル TCP/IP プロトコルネットワーク機器機能
第7層アプリケーション層アプリケーション層 SMTP,HTTP,DNS,
POP3,FTP,
DHCP,TELNETなど
ゲートウェイ異種ネットワークの接続
第6層プレゼンテーション層
第5層セション層 Socket,NetBIOS
第4層トランスポート層トランスポート層TCP,UDP
第3層ネットワーク層インターネット層IP,RIP,OSPF ルータ異なるネットワークの接続
ルーティング(経路制御)
第2層データリンク層 ネットワーク
インターフェース層
PPP,ATM,SLIP,
Ethernet
ブリッジ 2つの LAN を接続
フィルタリング
第1層物理層リピータLAN ケーブルの物理的延長  信号の再生・増幅


b. データリンク層のプロトコル

TCP/IPでは、ネットワークインターフェイス層。
コネクタやピン形状・伝送媒体、(物理層に対応)など、パケットを物理的な電気信号に変換したり、伝達する役割を担う。
また、物理的な同一回線内で通信を行うためにデータをひと塊りにする役割を担う。(データリンク層に対応)
この層で使用されるアドレスは、MACアドレスである。

MACアドレス 】(Media Access Control address)
ネットワーク上で、各ノードを識別するために設定されているLANカードなどのネットワーク機器のハードウェアに(原則として)一意に割り当てられる物理アドレスである。 OSI参照モデルでいえば、第2層(データリンク層)Media Access Controlのアドレスにあたる。
各Ethernetカードに固有のID番号。全世界のEthernetカードには1枚1枚固有の番号が割り当てられており、これを元にカード間のデータの送受信が行われる。IEEEが管理・割り当てをしている各メーカーごとに固有な番号と、メーカーが独自に各カードに割り当てる番号の組み合わせによって表される。

PPP
PPP( Point to Point Protocol )は、1対1でホスト間の通信を行うためのプロトコル。電話回線などを通じてコンピュータをネットワークに接続するプロトコル。認証機能や圧縮機能を持つ。

PPPoE
PPPoE ( Point to point Protocol over Ethernet ) の略。PPPがもともと、電話回線やISDN回線など、発呼を要する通信回線を介してネットワークに接続するためのプロトコル。これをLANなどの「つなぎっぱなし」の環境でも利用できるようにしたものが PPPoE である。通常の PPPと異なり、ネットワークカードの持つ固有の「MACアドレス」によって双方のコンピュータを識別し、その間に仮想回線を展開している。
PPPoEを利用すると、LAN上からもユーザ認証やIPアドレスの割り当てなどが可能になる。これを利用すれば、ADSLやCATV、光ファイバーなどによる常時接続サービスにおいて、接続するプロバイダを簡単に切り替えられるようになる。日本国内でも多くのADSL接続サービスがPPPoEを採用している。

SLIP
Serial Line Internet Protocolの略。略称SLIP(スリップ)。
インターネットなどのTCP/IPネットワークに電話回線など(シリアル通信回線)を通じて一時的にに接続するためのプロトコルである。
かつては多く使用されていたが、ネットワークプロトコルにTCP/IPしか利用できず、セキュリティも低いため、現在ではPPPに取って代わられている。

ARP 】(Address Resolution Protocol)
イーサネットでは、データを送受信する機器の識別にMACアドレスを使用するため、IPアドレスをもとに、送信先のMACアドレスを求めるプロトコル。

IPoE 】(IP over Ethernet)
IPoEは、NTT東西のNGN網(次世代ネットワーク)など事業者側のネットワークと直接接続してIP通信を行う通信方式です。企業内のLANなどと同じ仕組みなので、PPPoEのように接続用のユーザー名(ID)とパスワードを必要としません。そのためIPoEは「ネイティブ接続方式」とよく呼ばれます。
ただし、IPv6の通信しか対応していません。IPv4通信を行う場合は、「IPv4 over IPv6」を使って通信します。

VLAN
物理的な接続形態とは独立して、仮想的なLANセグメントを作る技術です。
VLANはスイッチ内部で論理的にLANセグメントを分割するために使用されます。VLANを使用することでルータやL3スイッチと同じようにL2スイッチでもブロードキャストドメインの分割を行うことができます。


c. ネットワーク層のプロトコル

TCP/IPでは、インターネット層。
ネットワークを介してデータ伝送を行うためのルーティング(経路選択)や中継機能を提供し、2つのノード間でコネクションレス型のデータ伝送を実現する。通信相手までパケットを送信する役割を担う。

IP
インターネットにおいて情報の伝達を行うプロトコルであり、 インターネットの基礎部分となる重要な役割を持つ。
OSI参照モデルのネットワーク層にほぼ対応する機能を持つ。
IPは、最も基本的な通信単位であるパケットを相手に送信する役割を担う。パケットは、発信者、受信者(手紙でいう宛て先)などの情報を持つIPヘッダと、通信内容を格納するペイロードとで構成される。パケットのうちIPが受け持つネットワーク層の部分はデータグラムと呼ばれる。発信者、受信者は、IPアドレスにより特定する。
IPは自己のインタフェース(ネットワークカードやモデムのこと)からパケットを送出するだけであり、相手まで確実にパケットが届くことに責任を持たない(保証しない)。そのため、不慮の事故でパケットが失われた場合には単に到着しないだけである。確実な送受信を保証する必要がある場合には、IPより上位のトランスポート層のプロトコルであるTCPなどを使用する必要がある。

RIP ( Routing Information Protocol : ルーティング・インフォメーション・プロトコル)
RIPは、経由する可能性のあるルータをホップ数という値で数値化し、DVA(Distance Vector Algorithm)というアルゴリズムで隣接ホストとの経路を動的に交換する事で、パケットが目的のネットワークアドレスにたどり着くまでの最短経路を決定する。 RIPでは、メトリック(ルータのホップ数)がより少ない経路情報が最適経路として使用される。また、最大メトリックは15となっており、これを超えた場合(16以上)は到達不可能と見なされる。また、有効経路を2つまで採用し、固定メトリック値を与えることで、同一ホップ数の経路がある場合に優先する経路を制御することが可能である。
目的ネットワークアドレス、次のホップ先IPアドレス、目的ネットワークまでのホップ数などの情報は、ルーター内のルーティング・データベースに記録され、ルータ間で定期的に情報交換が行われる。 その中から有効な経路を抽出したテーブルが、ルーティング・テーブルと呼ばれる。

OSPF ( Open Shortest Path First )
小規模から大規模のネットワーク向けのリンクステート型ルーティング・プロトコルである。RIPにおける制約を解消するためにIETFにおいて提唱され、スタティック・ルーティングやRIPでは実現できなかった冗長経路構成を容易に実現できる。
OSPFはリンクステート・プロトコルである。各ルータは隣接するルータとのリンク状態をリンクステート広告 (link-state advertisement; LSA) としてフラッディングにより交換することでネットワーク・トポロジーのデータベースを構築し、ダイクストラのアルゴリズムで最短経路ツリーを計算してルーティング・テーブルを作成する。ネットワーク規模の増大に対処するため、OSPFはネットワークを複数のエリアに分割することを可能としており、フラッディングや経路計算をエリアごとに効率よく実現できる。エリア間の通信はエリア境界ルータ (area border router; ABR) を介して行われ、エリア間のルーティングは特定のバックボーン・エリアが中継することで実現される。またルーティング情報更新の負荷を軽減するため、セグメントごとに代表ルータ (designated router; DR) とバックアップ代表ルータ (backup designated router; BDR) が選出されハブとして働く。

ICMP ( Internet Control Message Protocol )
パケットの配送中にエラーが発生した場合に、送信元への通知や、通信状態の診断を行うためのプロトコル。

CIDR ( Classless Inter Domain Routing )
IPアドレスのクラスではなく、IPアドレスとサブネットマスクの組み合わせでネットワークアドレスを扱えるようにしたもの。

IPアドレス
技術要素 - 10.ネットワーク - 1.ネットワーク方式 - 6.インターネット技術 を参照

ユニキャスト
ユニキャストは1台の端末を指定しデータ転送する方式
受信側では、パケットの宛先情報を確認して自分宛であると判断すると、上位層にデータを引き渡します。
自分宛でないと判断した場合は、受信パケットを破棄します。

ブロードキャスト
ブロードキャストは1つのネットワーク内の全端末に対してデータを送信する際に使用されます。
また、ブロードキャストはルータを越えることが出来ないため、異なるネットワークにはブロードキャストが転送されません。
なお、ブロードキャストを表すMACアドレスは「FF-FF-FF-FF-FF-FF」となります。
ブロードキャストを使用する代表的なプロトコルとして、ARP、RIPv1などがあります。

マルチキャスト
データ受信を希望する複数台の端末に送信する際に使用されます。この複数台をグループとし、グループ用のアドレスを定義します。
送信の際は、グループアドレス宛にデータを転送され、事前にグループアドレスを知らされていた端末はデータの受信ができ、知らされていなかった端末は受信ができません。

d. トランスポート層のプロトコル

データを正しく届けるために、データの順序や誤り検出、データ圧縮、再送制御などを行う。

TCP
データの順序や再送制御をおこなう。

UDP
コネクションの制御は行わず、データの順序も保証しない、速度重視のプロトコル。

ポート番号
TCP/IPネットワークにおいて、複数の相手と同時に接続・通信を行うためにIPアドレスの下位に設けられたサブアドレスと呼ばれる識別番号のこと。
IPアドレスはコンピューターを特定するための番号で、ポート番号はサービスを特定するための番号です。
該当コンピュータのどのサービスに通信パケットを届けるかは、 IPアドレスだけでは決定できません。 どのサービスに通信パケットを渡すのかを識別するために、ポート番号を使用します。
ポート番号は16ビットの整数であり、 0番~ 65535番まであります。

ウェルノウンポート番号
ウェルノウンポート番号(Well-known port numbers)とは、ポート番号のうち、よく利用されるアプリケーション用に予約されている 0~1023 までのことです。

次の表は、代表的なポート番号の一覧である。

 ポート番号        説明 
  20  FTP(データ転送ポート)
  21  FTP(コントロールポート)
  22  SSH
  23  Telnet
  25  SMTP(メール配信プロトコル)
  53  DNS
  67  DHCP(サーバ)
  68  DHCP(クライアント)
  80  HTTP
 110  POP3
 119  NNTP(ネットワークニュース)
 123  NTP(ネットワークタイムプロトコル)


e. アプリケーション層のプロトコル

ファイル転送やメッセージの通信方式など、アプリケーションに必要な通信サービスを提供する。

HTTP( Hyper Text Transfer Protocol )
WWW のアプリケーションサービスに対応するプロトコルであり、文字、画像、音声などの転送を行うことができる.なお、HTTP に SSL という認証・暗号化プロトコルをプラスしたものを HTTPS という。

SMTP ( Simple Mail Transfer Protocol )
メール送信やメールサーバー同士のメール配送時に使用されるプロトコル

● SMTPの通信手順

POP
メール受信のためのプロトコル

FTP( File Transfer Protocol )
ファイルを転送するためのプロトコル

DNS( Domain Name System )
IP アドレスの別名をドメイン名と呼ぶが、このドメイン名と IP アドレスを関連づけるのが DNS サーバである

TELNET
遠隔地のコンピュータをリモート操作するためのプロトコル

DHCP( Dynamic Host Configration Protocol )
コンピュータからの要求によって動的に IP アドレスを割り振るためのプロトコル
DHCPサーバは、UDPの67番、DHCPクライアントは、UDPの68番ポートを使用する。

IMAP
メール受信のためのプロトコル.メールサーバから必要なメールだけを取り出すことが可能.

NTP( Network Time Protocol )
時計あわせのためのプロトコル.一般的には、これを簡略化した SNTP( Simple Network Time Protocol )が使用されている

Socket
アプリケーションがTCP/IP通信を使用するための接続点。IPアドレスとポート番号によりアプリケーションごとに通信が可能になる。IPアドレスは端末を区別し、TCPやUDPのポート番号はその端末のアプリケーションを区別する。


f. LANとWANのインタフェース

10BASE5 は、IEEE802.3と呼ばれるイーサネット規格のひとつで、10BASE5 以外にも 10BASE2、10BASE-T などがあります。 しかし IEEE802.3 では伝送速度が 10Mbps と、現在では速度不足になってきており、新規にネットワークを敷設する場合は、100Mbps の IEEE802.3u(ファストイーサネット)、1Gbps の IEEE802.3z、IEEE802.3Ab(ギガビットイーサネット)が利用されています。

 IEEE802.3系の規格は、名称からおおよその仕様を類推することができます。 10BASE-T であれば、以下のように分解して考えます。

 先頭の数字「100」は、伝送速度を表します。単位は Mbps です。

 それに続く「BASE」は、変調方式(簡単に言うと「信号の伝え方」)を表します。 「BASE」はベースバンド方式、「BROAD」はブロードバンド方式です。 ベースバンド方式はデジタル信号のまま通信するのに対し、ブロードバンド方式では、データをアナログ信号に変換して通信します。

 最後の文字「5」は、中継機器などを接続せずに設置できる伝送距離(最大セグメント長)を表します。 アルファベットの場合は、伝送媒体を表します。 「T」であればツイストペアケーブル、「F」であれば光ファイバケーブルを表します。

名前 伝送速度 変調方式 伝送距離 伝送媒体
10BASE2 10Mbps ベースバンド 185m 同軸ケーブル
10BASE5 10Mbps ベースバンド 500m 同軸ケーブル
10BASE-T 10Mbps ベースバンド 100m ツイストペアケーブル
100BASE-TX 100Mbps ベースバンド 100m ツイストペアケーブル
1000BASE-FX 1Gbps ベースバンド 100m ツイストペアケーブル
100BASE-FX 100Mbps ベースバンド 最大20km 光ファイバー


  1. 1000 Base-TX
    伝送速度が1000Mbpsの1000Base-TXは、1ペアの信号線で500Mbpsのデータの通信を行い、2ペアを送信に割り当て、残る2ペアを受信に割り当てます。
  2. 1000 Base-T
    伝送速度が1000Mbpsの1000Base-Tは、1ペアの信号線で250Mbpsのデータの送受信を同時に行い、さらに4ペア同時に送受信を行います。

1000Base-Tは4ペア全てで送受信を行うため、送受信の回路が複雑になりシステムのコストが高かったため、もっと安価なシステムの開発を目的として新たに1000Base-TXが規格化されました。しかし、ベースバンドが2倍となりケーブルは高周波数特性のCategory6が必要となっています。
4対全てを用いるため、コンピューター同士、あるいはHUB同士を接続する場合、クロスケーブルを用いるに際して10BASE-Tや100BASE-TXで一般に用いられた568A-568Bのケーブルが使えないので注意が必要である(これは2対しかクロスしていないため)。
ただ、1000BASE-Tの機器には極性を自動反転するものが多く、その場合にはMDIかMDI-Xかを考えずに全てストレートケーブルで接続すれば良い。
1000BASE-Tクロス結線では、1‐2、3‐6、4‐5、7‐8の4ペアすべてがクロスとなっている。
順番に、次のように結線されている。
1‐3 白橙
2‐6 橙
3‐1 白緑
4‐7 青
5‐8 白青
6‐2 緑
7‐4 白茶
8‐5 茶


g. CORBA



     

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