技術要素 - 10.ネットワーク - 1.ネットワーク方式 - 1.ネットワークの種類と特徴

Last Update : January 02 2021 16:00:26

     

a. LAN

LAN(Local Area Network)とは、構内情報通信網や企業情報通信網などとも呼ばれ、限られたエリア内で構築される、コンピュータネットワークを意味する。
LANを用いれば、情報の共有はもとより、コミュニケーションの充実を図ることも可能となることから、企業にとって大きなメリットを得ることができる。しかしその一方で、LANでは、全国規模のネットワークが構築できず、本支社間や企業間などの相互接続には対応できないといった問題点もある。


b. WAN

電気通信事業者は、遠隔地のLAN同士や端末とホストコンピュータを結ぶための広域ネットワークを全国に敷設するとともに、これをサービスとして一般に提供している。この広域ネットワークが、WAN(Wide Area Network)である。 WANは、広域通信網とも呼ばれている。この名の示すとおり、WANには範囲における制限がないため、日本国内のネットワークはもちろん、世界全体をカバーするサービスも存在する。
WANは、公衆電話回線やISDNをはじめとして、専用線、フレームリレーやセルリレーなど、電気通信事業者によってサービスされている公衆網を意味する。また、昨今、LAN間接続やVoIP実現のために注目されているIP-VPNや広域イーサネットなどもWANの仲間として挙げられる。つまりWANとは、ある特定のネットワークを意味するものではなく、広域通信網として、電気通信事業者が提供するさまざまなネットワークサービスの総称といえる。
WANの転送技術は、回線交換、蓄積交換、専用線に大別される。
回線交換とは、公衆電話回線やISDNなど、ダイアリングによって交換機が専用回線をつなぐことで両者の通信が可能となるものである。
また、蓄積交換とはパケット交換のことで、回線は常に共有するものの、データをパケットなどに分割し細かい単位で伝送する。インターネットがこの方式を用いたネットワークの代表格だが、WANにおいてはフレームリレーがこれに相当する。また、セルリレーはこれを一歩先に進めた方式を採用することで、高い転送効率を実現している。
専用線とは、特定の端末間の通信を行うときに、常に固定された通信回線を利用する方式のこと。回線交換方式に比べて信頼性やセキュリティが高い。ただし、料金は定額制のため、データ伝送していないときにも料金は発生しているのと同じなので、コストは割高になる。

  • 回線交換・・・ 公衆回線網、ISDN、従量制、逓減課金
  • 蓄積交換(パケット交換)フレーム、セル含む・・・ フレームリレー、セルリレー(メガデータネッツなど)広域イーサネット、IP-VPNなど 、逓減課金、固定料金
  • 専用線・・・ 各種専用線サービス 固定料金

電気通信事業者
通信サービスを提供する企業をいう。単に通信事業者と呼ばれる場合もある。電気通信事業者の代表格としてはNTTやKDDIが挙げられる。電気通信事業者は、第一種電気通信事業者、第二種電気通信事業者に大別されるが、これは自らが通信設備を持っているか否かの違いによるもので、さらに詳細の分類がなされる。

広域イーサネット
WANとして提供されるネットワークサービスの1つだが、データリンク層のプロトコルとしてEthernetを用いている点に大きな特徴がある。一般的なWANの場合、WAN専用のプロトコルを用いることから、接続の際にこれに対応する必要があるが、広域イーサネットの場合は、LANと同様のプロトコルであるため、シームレスな接続が可能となり、LAN間接続なども比較的容易に行うことができる。

MDF (Main Distributing Frame)
主配線盤のこと。MDFは電話局からの回線を引き込み、各階のIDFに分配する。

IDF ( Intermediate Distribution Frame)
中間配電盤。主配線盤(MDF : Main Distribution Frame) から、各階のIDFに分配し、IDFは各階に設置され、フロアの各端末に分配する。

フレームリレーサービス
パケット交換を高速したサービス。データをフレームに分けて送信し、高速化を図っている。パケット交換(X.25)の誤り制御を簡略化して高速にしたもの。

ATM ( Asynchronas Transfer Mode :非同期転送モード)サービス
パケット交換に似たサービスで光ファイバを利用した高速通信で、音声や動画像のデータを送信できる。データを「53バイト」のセルで交換。別名、「セルリレー」。伝送速度は、数Mから数Gビット/秒。
セルの検出・交換はハードウェアで行なうことができるため、フレームリレーよりも高速に情報を転送することができると言われている。
また、固定長のデータを非同期に転送するという特性により、速度の異なる回線をまたがる転送でも、特別な技術を用いることなく柔軟に対応することができる。

インターネットサービスプロバイダ 】(Internet service provider;ISP)
インターネットに接続する通信回線を提供する業者。ISPまたはプロバイダーとも呼ぶ。
インターネットのサービスを利用するには、TCP/IPという通信プロトコルを用いて、インターネットに接続する必要がある。接続方式には、直接インターネットにコンピューターやLANをつなぐ専用線接続、既存の通信回線を利用するADSLやCATV、電話回線経由で一時的にインターネットにつなぐダイヤルアップIP接続、などがある。大半の業者はこれらの複数の接続サービスを手掛けている。

センサーネットワーク 】(Wireless Sensor Networks : WSN)
複数のセンサ付無線端末を空間に散在させ、それらが協調して環境や物理的状況を採取することを可能とする無線ネットワークのこと。M2Mで使用するコア技術である。
センサネットワークは通常、アドホック(ad hoc)機能と、各ノードから中枢ノードへデータを送るためのルーティング機能(routing algorithm)を持つ。つまり、ノード間の通信に障害がでると別の通信経路を自律的に再構築する機能がある。ノードがグループとして連携するため分散処理の要素もある。
センサネットワークの用途は多岐にわたるが、主に監視、追跡、そして制御に集約することができる。具体例では電力や温度などのモニタ、赤外線や慣性センサによる行動モニタ、GPS/電波/音波/慣性などによる追跡などが挙げられる。多点を同時計測できるため、物理現象の分布変化を把握するのに有効である。


c. 課金方式

  • 定額制…利用量・利用時間に関係なく利用料金は一定。全く利用しなくても料金はかかる。

  • 従量制…利用量・利用時間に比例して料金が増加していく。使えば使うほど料金は高くなる。

  • 半従量制…基本料金が決まっていて、ある一定の利用量・利用時間までは、基本料金だけで済むが、その利用量・利用時間を超えると従量制の料金が追加される。

  • キャップ制(従量課金上限制)…最初は従量制で課金されるが、一定の利用量・利用時間を超えると定額の料金になる。

  • 逓減課金制…従量制だがある一定の利用量・利用時間を超えると、従量制の料金が安くなっていく。




     

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