コンピュータシステム - 4.システム構成要素 - 1.システムの構成 - 6.RAID

Last Update : January 02 2021 16:00:20

     

a. RAID

RAID (Redundant Array of Independent (Inexpensive) Disks)とは、複数のハードディスクをあたかも1つのハードディスクのようにして使用することで、信頼性や処理速度を高めるための技術です。ディスクアレイとも呼ばれる。
複数台のハードディスクをコンピュータに接続するだけでは、RAID を導入できない。RAID コントローラとよばれるハードウェアを導入するか、RAID を実現するためのソフトウェアをインストールする必要がある。前者での実現方式をハードウェアRAID 、後者をソフトウェアRAID と言う。
RAID には、目標とする信頼性や処理速度を得るため、いくつかの構成方式があり、これをRAID レベルと呼ぶ。いろいろと亜種はあるが、基本的にはRAID 0~5の6つが定義されている。

RAID0
耐障害性の無いディスクアレイ(ストライピング)で、データをブロック単位に分割し、複数のディスクにわたって分散してデータを記録する。このため、ディスクをまたがってデータが帯状に配置されることから「ストライピング」とも呼ばれる。
分散されたデータに同時に並行してアクセスできるため、アクセスが高速になる。ただし、単純にデータが分散しているだけなので、故障時にデータを再生成する機能はない。従って、ディスクが1台でも故障するとデータの読み書きができなくなる。ディスクの台数が増えれば増えるほど、このような故障の確率が高くなっていく。

長所

  • 構成ドライブの全ての容量が利用可能。
  • ドライブ数が増えれば増えるほどアクセス速度が上がる。

短所

  • 耐障害性が全くない。
  • ドライブ数が増えれば増えるほど故障率が上がる。
  • 性能を100%引き出すには、I/O性能の向上に見合った帯域を持ったバスアーキテクチャが必要となる。



RAID1
ミラーリングのこと。
2台のディスクに同じデータを同時に書き込みます。
アクセス速度の向上はありませんが、ディスク故障に起因するデータの損失やシステムの停止が起こらない。一方のディスクが故障したときに、もう一方のディスクに自動的に切り替わってデータが処理されるので、動作はそのまま継続する。「高速化」という点では期待できませんが、「耐障害性」はよくなる。ただし、ディスクの容量全体のうち、半分しか実際には使えないので、コストパフォーマンスは低いといえる。



RAID2
エラー検出・訂正用のコードを生成して複数の磁気ディスクに格納する。
データはビットまたはバイト単位に分割され、データ専用の複数のディスクに記憶される。ハミングコードはこの分割されたデータをもとに作成され、複数のディスクへ記憶しますが、分割された分だけデータ修復情報用ディスクが必要となる。そのため、コスト・性能の両面で他のRAID方式に劣り実用性はない。

RAID3
データをビットやバイト単位に分割して複数のディスクに格納して、エラー検出・訂正用のパリティ記録用に1台の専用の磁気ディスクを使用する。
データは、ブロック単位やビットまたはバイト単位に分割され、データ専用の複数のディスクへ同時に書き込まれます。パリティは分割されたデータから生成され、パリティ専用のディスクに書き込まれます。常に全てのデータディスクに並行してアクセスし、データを一括して転送する方式であるため、高いデータ転送速度を得ることができる。



RAID4
RAID3に対してデータの分割をセクタ単位のブロックで行う。
RAID 0 のストライピングに、パリティ専用ディスクを追加してデータを再生成する機能を持たせたもの。
データはブロック単位に分割し、データ用ディスクへ記録され、パリティは1台のパリティ専用ディスクに記録される。データ更新時には必ず更新前のデータとパリティを読み出し、更新パリティを作成後書き込むといった余分なアクセスが必要になる。これを「ライトペナルティ」と言う。
ライト処理を多重に実行しようとしても、パリティ専用ディスクにアクセスが集中するため、複数の書き込み処理を同時に実行することはできない。




RAID5
データの分割はブロック単位でパリティはすべてのハードディスクに分散して記録する。
RAID4におけるパリティディスクへのI/O集中 を回避する為の手法です。データの分割方法やパリティの作成方法はRAID4と同じですが、パリティデータをすべてのディスクに分散して配置する所が異なる。
データ更新時には必ず更新前のデータとパリティを読み出し、更新パリティを作成後書き込むといった余分なアクセスが必要になる。これを「ライトペナルティ」といい、RAID4と同じ処理を行う。しかし、RAID5の場合は、更新するパリティが異なるディスクに配置されているため、ライト処理が多重で発行された場合でも同時に実行することができ、RAID4に比べて高い性能 を実現できる。



RAID6
RAID6は、2種のパリティを異なるディスクに配置すること(ダブルパリティ)により、同一RAIDグループ内の2台のディスク故障までを救済できるようにしたもの。 RAID5同様、更新するパリティが異なるディスクに配置されているため、ライト処理 が多重で発行された場合でも同時に実行することができ、RAID4に比べて高い性能を実現できる。





b. NAS

NAS( Network Attached Storage )は、LANに直接接続されたNFS(Network File System)やCIFS(Common Internet File System)といったファイルシステムによりアクセスされるストレージの総称です。NASは独自のNAS 専用OS によって、ネットワークを介してファイルを共用できる独立したファイルサーバとして機能し、ネットワーク上のクライアントからは従来のファイルサーバと同じようにアクセスすることができる。つまり、ファイルサーバ・アプライアンスです。既存のLANを用いるため一般的にSANと比較すると導入が容易。
また、データ転送は、NASが専用OSによってファイルシステムを有しているためファイル単位であるのに対してSANはサーバがファイルシステムを管理しているのでブロックアクセスとなる。 この違いは、Windowsサーバからストレージの見え方を比べると一目瞭然です。SANはローカルドライブとして認識され、NASはネットワークドライブとして認識される。


c. SAN

SAN (Storage Area Network)は、ファイバチャネルスイッチを用いてサーバとストレージ間を専用のネットワークで構築し、SAN 対応のストレージ機器を接続する。ファイバチャネルは、デジタルデータを高速に伝送するために開発されたシリアル伝送形式のインターフェースである為、高いデータ転送効率を持ち、ストレージ専用のネットワークによって、既存のLAN に負荷を与えることなくアクセスが可能。




     

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