企業と法務 - 23.法務 - 4.その他の法律・ガイドライン・技術者倫理 - 2.コンプライアンス

Last Update : January 02 2021 16:00:52

     

a. コンプライアンス

コンプライアンス(法令遵守)とは、企業が経営活動を行ううえで、法令や各種規則などのルール、さらには社会的規範などを守ること。一般市民が法律を遵守することと区別するために、企業活動をいう場合は「ビジネスコンプライアンス」ともいう。

さらに広い概念として、CSR( Corporate Social Responsibility :企業の社会的責任)がある。
企業は社会的存在として、最低限の法令遵守や利益貢献といった責任を果たすだけではなく、市民や地域、社会の顕在的・潜在的な要請に応え、より高次の社会貢献や配慮、情報公開や対話を自主的に行うべきであるという考えのこと。

コンプライアンスの対象には、法律だけでなく、企業理念や企業論理に基づいて定められた規範も含まれることが多い。

コーポレートガバナンス
企業や官公庁などの不祥事が相次ぎ、株主や投資家、取引先、顧客などに対して損害を与えるケースが増えている。こうした企業や組織の不祥事を防止するためには、企業の内部において違法行為などが行われないように業務が行われる基準や仕組みを作りそれに基づいて管理や監視を行う内部統制が重要になる。
この内部統制にて企業活動の監視や経営の透明性、健全性をチェックする仕組みを「コーポレートガバナンス」という。「経営者の独走・暴走をチェックし、阻止する」、「組織ぐるみの違法行為をチェックし、阻止する」、「企業理念を実現するため全役員・従業員の業務活動を方向付ける」といった目的がある。

輸出関連企業における輸出関連法規の遵守基準、IT関連企業におけるシステム管理基準・ソフトウェア管理ガイドラインなどがある。

ソフトウェア管理ガイドライン 】(経済産業省)

  1. 主旨
    本ガイドラインは,ソフトウェアの違法複製等を防止するため,法人,団体等(以下,「法人等」という。)を対象として,ソフトウェアを使用するに当たって実行されるべき事項をとりまとめたものである。

  2. 用語の定義
    本ガイドラインに用いられる主な用語の定義は,以下のとおりである。
    (1) ソフトウェア
    パーソナルコンピュータで稼動し,一般に市販・流通しているシステムプログラム,アプリケーションプログラム,ユーティリティプログラム等のパッケージソフトウェアをいう。
    (2) 違法複製等
    ソフトウェアは,著作物として著作権法で保護されており,著作権者に無断で複製することは禁止されている。この場合,著作権法及び使用許諾契約書(約款)に違反して複製する行為を示す。
    (3) 使用許諾契約(約款)
    ソフトウェアメーカ(著作権者)が,ソフトウェアの使用権をユーザに許諾するための契約(約款)で,ソフトウェアの利用範囲,使用条件が記載されている。

  3. 構成
    本ガイドラインは,法人等が実施すべき基本的事項,ソフトウェア管理責任者が実施すべき事項,ソフトウェアユーザが実施すべき事項から成り,その構成及び内容は以下のとおりである。
    (1) 法人等が実施すべき基本的事項
    法人等が,自己の組織内においてソフトウェアの違法複製等が行われることを防止するために行うべき最も基本的な事項についてまとめたもの。
    (2) ソフトウェア管理責任者が実施すべき事項
    法人等におけるソフトウェアの使用等について責任を負う者(以下「ソフトウェア管理責任者」という。)が行うべき事項についてまとめたもの。
    (3) ソフトウェアユーザが実施すべき事項
    法人等の事業所においてソフトウェアを使用する法人等の構成員(以下「ソフトウェアユーザ」という。)が行うべき事項についてまとめたもの。

  4. 法人等が実施すべき基本的事項
    (1) ソフトウェアの使用等を的確に管理し,ソフトウェアの違法複製等の行為を効果的に防止するため,法人等におけるソフトウェアの使用等について責任を負うソフトウェア管理責任者を任命し,ソフトウェアの適切な管理体制を整備すること。
    (2) ソフトウェアの適正な使用等を確立するため,ソフトウェアの使用手順や管理方法等を定めたソフトウェア管理規則を策定すること。
    (3) ソフトウェアの違法複製等の有無を確認するため,すべてのソフトウェアを対象として,ソフトウェアの使用状況についての監査(以下「ソフトウェア監査」という。)を実施すること。
    (4) ソフトウェアの適正な使用等に対するソフトウェアユーザ意識の向上を図るため,関係法令や使用許諾契約等について,ソフトウェアユーザの教育,啓蒙を行うこと。

  5. ソフトウェア管理責任者が実施すべき事項
    (1) 法人等におけるソフトウェアの使用状況を常時把握するため,すべてのソフトウェアの使用状況を記録したソフトウェア管理台帳を整備すること。
    (2) ソフトウェア監査等によりソフトウェアの違法複製等を発見した場合は,事情を調査した上で,違法複製されたソフトウェアを消去する等,適切な措置を速やかに講じること。
    (3) すべてのソフトウェアユーザを対象として,関係法令,ソフトウェア管理規則,使用許諾契約に規定された使用条件等の周知徹底を図ること。

  6. ソフトウェアユーザが実施すべき事項
    (1) 関係法令,ソフトウェア管理規則及び使用許諾契約に規定された使用条件並びにソフトウェア管理責任者の指示を遵守すること。
    (2) 法人等が保有するソフトウェアと個人が保有するソフトウェアとの区分が不明確になることを防ぐため,個人が保有するソフトウェアを法人等の事業所において使用する場合,予めソフトウェア管理責任者の承諾を得ること。

  7. 留意事項
    本ガイドラインは,法人等におけるソフトウェアの使用数,組織の規模等の実態に則して運用すること。


  [ 例題 ] 
  1. 平成18年度秋期 問68  ソフトウェア管理ガイドライン
  2. 平成17年度秋期 問68  ソフトウェア管理ガイドライン


     

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