企業と法務 - 23.法務 - 3.労働関連・取引関連法規 - 3.企業間の取引にかかわる契約

Last Update : January 02 2021 16:00:52

     

a. 外部委託契約

外部委託とは、自社の業務の一部を外部の業者に委託すること。専門の人材や技術が必要な業務を外部に委託し、業務の効率化を図ることを目的としている。


b. 守秘契約

公務員、弁護士、医師などが業務上で知った秘密を守るべき法律が「守秘義務契約」。目的以外でこれを利用したり、第三者に漏えいしないといった内容の契約。「機密保持契約」、「NDA ( Non-Disclosure Agreement )」と呼ばれることもある。


c. ソフトウェア使用許諾契約(ソフトウェアライセンス)

ソフトウェアの知的財産権の所有者と購入者の間の契約である。そのソフトウェアのコピーの利用について定義し、消尽や使用・保管・再販・バックアップなどの購入者が自動的に有する権利を定義している。そのような契約を定めた文書を使用許諾契約書、英語では end-user license agreements (EULA) と呼ぶ。 契約書はデジタル形式のみの場合が多く、ユーザーがクリックすることで表示され、「同意する」を選ばないとそのソフトウェアは使えない。ユーザーはソフトウェアを購入してからでないと契約内容を確認できないため、このような契約を附従契約と呼ぶ。

ソフトウェアは、一般に、発売元からのライセンス(使用許諾)を受けて使用する必要がある。ライセンスの形態には、個人利用者としてのライセンスだけでなく、以下に示すように、複数の人が使用できるライセンスの形態も存在する。

  • ボリュームライセンス: 少数の媒体を提供し、インストールできる数(使用できる人数)をあらかじめ決める契約
  • サイトライセンス: 大学内、企業内など、使用できる場所を特定し、その場所内であれば複数の人が自由に使用できるような契約
  • マルチユーザライセンス: 利用できるユーザ数の上限によりライセンス料を決定する契約
  • サーバライセンス: インストールするサーバを特定してライセンス料を決定する契約

なお、一般の有料のソフトウェア以外に、以下に示すようなソフトウェアも存在する。

  • フリーソフトウェア: 無料のソフトウェア。ただし、著作権を放棄していないので、勝手に改変したり再配布することはできない。
  • シェアウェア: 一般にネットワークで配布され、著作権を保持した安価な有料ソフトウェア。
  • パブリックドメインソフトウェア: 著作権を放棄した無料ソフトウェア。
  • オープンソースソフトウェア: ソースコードを公開、再配布を制限することを禁止、無保証、派生ソフトウェアを許諾、著作権の保持などの特徴を持ったソフトウェア。
  • CAL ( Cliant Access License ): ネットワークに接続されたサーバーコンピュータの機能をクライアントで利用する場合に必要なライセンスのこと。サーバーにアクセスできるクライアントの台数を規定して契約される。

シュリンクラップ契約
ソフトウェアの購入者がパッケージの封を破ることで、使用許諾契約に同意したものとみなす契約方式。シュリンクラップとは製品の「包装」のこと。
著作権は特許権と異なり独占的使用権はないため、開発者がユーザによる使用権の行使に条件をつけるには、個別に契約を結ぶ必要がある。店頭で販売されるパッケージソフトでは、そのような機会はない(お店と購入者の間で交わされるのは複製物の売買契約)。 このため、パッケージの中に契約条件を書いた書面を同封しておき、CDケースなどの封を破ると利用者が自動的に条件に同意したものとみなす契約方法が採用された。これがシュリンクラップ契約である。

OSS ( Open Source Software ) ライセンス
ソースコードを無償で公開し、そのソフトウェアの利用・改良や再配布を制限しないライセンス形態。ソースコードの公開と自由な利用に重点を置き、GPLのようなコピーレフト( Copyleft )を求めていない。

GPL 】( General Public License )
ソースコードを無償で公開し、そのソフトウェアの利用・改良や再配布を制限しないライセンス形態。ただし、GPLのソフトウェアを改変した二次著作物にも同じライセンスを適用しなければならないというコピーレフトの考え方になっている。

LGPL 】( Lesser General Public License )
基本的にはGPLと同じ。LGPLのソフトウェアを改変した二次著作物には、コピーレフトを求めているが、改変は行わず、LGPLのソフトウェアを呼び出して利用する二次著作物にはコピーレフトを求めていない。

コピーレフト 】(Copyleft)
著作権 (copyright) に対する考え方で、著作権を保持したまま、二次的著作物も含めて、すべての者が著作物を利用・再配布・改変できなければならないという考え方である。
コピーレフトの考えでは、著作権者はそのコピー(複製物)の受取人に対して撤回の出来ないライセンスを認め、販売を含む再配布を許可し、翻案(改変)されることも可能とする必要がある。逆に、コピーレフトを利用する側では、このライセンスのものをコピーや変更、再配布する時にはこのライセンスをそのまま適用し、それを明確に示さなければならない。

コピーレフトの定義

  • 創造物の使用、コピー、再配布、改変を制限しない
  • 改変したもの(派生物)の再配布を制限しない
  • 改変したもの(派生物)の使用、コピー、再配布、改変を制限してはならない
  • コピー、再配布の際には、その後の使用と改変に制限が無いよう、全ての情報を含める必要がある(ソフトウェアではソースコード含む)
  • 使用、コピー、再配布、改変のいずれにおいても、コピーまたは派生物にコピーレフトのライセンスを適用し、これを明記しなければならない

d. ソフトウェア開発契約

ソフトウェア開発の契約においては、委託者と受託者の間にソフトウェアの仕様や作業分担において誤解や認識の違いが生じやすいため、事前にソフトウェア開発契約書により重要事項を明らかにしておくことが重要になる。
特にシステム開発を請負契約で行った場合、作成されたシステムの著作権は、システムを開発した側にあるので、契約事項に著作権に関する事項を明らかにしておく必要がある。
契約に関して複雑な事項がさまざまにあるので、委託者にも受託者にも双方に参考になる契約のモデルを経済産業省が情報システム・モデル取引・契約書を発表しており、その中にソフトウェア開発委託モデル契約書がある。



     

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