企業と法務 - 23.法務 - 3.労働関連・取引関連法規 - 2.取引関連の法規

Last Update : January 02 2021 16:00:52

     

a. 下請法

下請法の目的 下請法は、下請取引の公正化及び下請事業者の利益保護を目的としている。 下請事業者は、自らの商品を市場で販売する力をもたないため、特定の事業者(親事業者)からの発注に依存しているのが通例である。このようなことから、親事業者による不当な取引が下請事業者に対して強要されがちで、これを防止するために下請法がある訳ですが、そこには、下請事業者が、親事業者からの不当な行為から守られることによって必要な体力(商品企画開発力・営業力)をつけ、いずれは市場のプレーヤーとして進出し、経済の活性化のために寄与していただくという期待がこめられている。

  • 法律で決められた親事業者の義務
    ・発注内容などを明確に記載した書面の交付(FAX・Eメールも可)
    ・支払期日を定めること(デザイン原稿・データの納品から60日以内)
    ・取引に関する事項を記載した書類の作成と保存(2年間)
    ・延長利息の支払い(年棒14.6%)

  • 法律で禁止している親事業者の主な行為
    ・買いたたき(極端に低いデザイン料金の設定)
    ・発注したデザインの受領拒否、受け取ったデザインの返品
    ・下請代金の減額、支払い延長(納品から60日以内に支払わない)
    ・不当な変更ややり直し(変更ややり直し分の料金を支払わない)

※親事業者・・・業務を委託する事業者
※下請事業者・・・委託を受ける事業者

製造委託
物品を販売し、または製造を請け負っている事業者が、規格、品質、形状、デザイン、ブランドなどを細かく指定して、他の事業者に物品の製造や加工を委託すること。
ここで言う物品とは動産のことを示し、家屋などの建築物は対象に含まれない。

役務提供委託
運送やビルメンテナンスなどを始め、各種サービスの提供を行う事業者がが、その提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること。
ただし、建設業を営む事業者が請け負う建設工事は、役務には含まれない。

修理委託
物品の修理を請け負っている事業者が、その修理行為の全部又は一部を他の事業者に委託したり、自社で使用する物品を自社で修理している場合に、その修理行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること。

情報成果物作成委託
ソフトウェア、映像コンテンツ、各種デザインなどの情報成果物を業として提供している事業者が、その情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること
物品の付属品・内蔵部品・物品の設計・デザインに関わる作成物全般を含む。 情報成果物とは、プログラム、映像や音声・音響などから構成されるもの、文字・図形・記号などから構成されるもの


b. 民法

(準)委任契約
法律行為以外の事務を行うことを受諾した者が自分の責任・管理のもとで、その事務の処理を行うことを約束する契約です委任契約の最大の特徴は、「法律行為」や「法律行為でない事務」のような、一定の行為について責任を負う、という点である。よって、行為という過程について責任が問われる。具体的には、「善良な管理者の注意義務」(以下、「善管注意義務」とする。)を負う(民法第644条)。善管注意義務とは、受託者側の地位、職業などかに応じて、客観的に期待・要求されるレベルの責任を果たすべき義務ということ。例えば、業務委託契約のようなビジネス上の契約では、その道のプロとしての一般的なレベルの責任を求められる、ということ。
委任契約は、行為という過程に対して責任を問われる。このため、業務内容としての行為をおこなうにあたって、善管注意義務を果たしているかどうかという責任が問われる。つまり、言い換えると、善管注意義務さえ果たしていれば、その結果として委託者の意に沿わないことになったとしても、責任は問われない、ということになる。

請負契約
請負人がある仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを内容とする契約である。
請負契約の最大の特徴は、「仕事の完成」という「結果」に対する責任を負う、という点にある。だから、受注者は結果責任を問われる。また、完成した仕事については、当然ながら、ミスがあってはならない。仕事にミスがあった場合は、受注者は、そのミスを修補したり、損害の賠償をしなければならない。このような責任を、「瑕疵担保責任」という(民法634条)。
請負契約は、仕事という結果に対して責任を問われる。このため、仕事という結果に欠陥があれば、その責任を問われることになり、委託者から、欠陥の修繕や損害の賠償を求められる。

労働契約
労働契約とは、契約の当事者の一方が相手方に労務に服することを約束し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約束する契約のこと(民法623条)。つまり、労働契約の目的は労務の提供そのものにある。


c. 商法

安全で迅速な取引を行い、債権者を保護することなどを目的に制定された。
商法には商号や商業の帳簿などに関すること、売買や運送、保険などの商行為について規定されていて、商人が行う営業や商行為は商法に従うことになっている。
また、商法に定めていない事項は商慣習に従い、また、民法に従うようになっている。


d. その他

電子消費者契約法
電子商取引について消費者の操作ミスによる契約のトラブルを救済する目的で制定された。
この法律では、事業者は、購入が確定する前に、消費者に対してもう一度申し込み内容を確認するための画面を用意したり、申し込みボタンを押すと契約が成立することをわかりやすく表示したりする必要がある。

特定商取引法
訪問販売や通信販売などの特殊な取引に適用される法律
インターネットによる販売は、通信販売に当たるので、特定商取引法では、消費者保護の観点から、消費者に事業者の氏名などを明示することや広告にあたっての重要事項を表示することを義務付けている。
特定商取引法(特定商取引に関する法律)は、訪問販売や通信販売などのトラブルが生じやすい取引において、購入者が受ける被害を防止するために事業者が守るべき義務を定めた法律です。
対象となる取引には以下のように規制・ルールが定められており、違反した場合には行政処分や罰則の対象となります。

  1. 氏名等の明示の義務づけ
  2. 不当な勧誘行為の禁止
  3. 虚偽・誇大な広告の禁止
  4. クーリング・オフ制度の適用

景品表示法
消費者の方々が安心して良い商品やサービスを、自主的かつ合理的に選べる環境を守るために作られた法律です。
景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)といいます。その名の通り、不当な景品類と不当な表示を規制する法律です。
景品とは、顧客を誘引する手段として、取引に付随して提供する物品や金銭などの経済上の利益を指します。一般に,景品とは,粗品,おまけ,賞品等を指すといえます。景品表示法では、過大な景品類の提供を禁止しています。
表示とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容や価格等の取引条件 について、消費者に知らせる広告や表示全般を指します。 景品表示法では、優良誤認表示の禁止、有利誤認表示の禁止、その他誤認されるおそれがある表示の禁止を規定しています。


  [ 例題 ] 
  1. 平成29年度秋期 問80  クリーンオフ クーリングオフ
  2. 平成28年度春期 問80  契約
  3. 平成26年度春期 問79  委託契約
  4. 平成26年度秋期 問80  準委任契約
  5. 平成25年度春期 問79  請負契約
  6. 平成25年度春期 問80  売買契約
  7. 平成25年度秋期 問79  請負契約
  8. 平成22年度秋期 問79  契約
  9. 平成21年度春期 問67  雇用契約
  10. 平成21年度秋期 問68  雇用契約


     

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