企業と法務 - 23.法務 - 2.セキュリティ関連法規 - 6.プロバイダ責任制限法

Last Update : April 12 2021 22:24:43

     

a. プロバイダ責任制限法

このプロバイダ責任法の内容は、損害賠償責任の制限と、発信者情報の開示請求に応じる義務の2点になります。
この法律における注意点のひとつは「プロバイダ」という言葉にあります。この言葉は、いわゆるISP(Internet Service Provider)だけではなく、掲示板などの管理者なども含めた言葉になっています。

  • 損害請求責任の制限
    インターネットの掲示板などで、誹謗中傷を受けたり、個人情報を掲載されたりした場合について考えてみます。被害者は、プロバイダの掲示板管理者などに対して、掲載を削除するように求めます。管理者がこれに応じて削除を行なったとき、掲載者からの損害賠償の責任を免れるという内容です。
    表面的にはプロバイダの責任が軽くなったように見えます。しかし、実際は掲載者の権利保護を理由にした放置が許されなくなった点で、プロバイダの管理責任が重くなったと言えます。積極的に違法行為に荷担しなくても、それを放置することも法律に抵触するようになった、いわゆる無作為責任が問われるようになったのです。
  • 発信者情報の開示請求に応じる義務
    この法律では、被害者からの要求があった場合には、誹謗中傷発言の掲載者などの発信者に関する情報を提供する義務が課せられました。提供が義務づけられる具体的な情報には、以下のものがあります。
    • 発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名又は名称
    • 発信者その他侵害情報の送信に係る者の住所
    • 発信者の電子メールアドレス
    • 侵害情報に係るIPアドレス
    • 侵害情報が送信された年月日及び時刻
    ただし、プロバイダ等は情報の開示にあたり、無条件に行なうことは認めておらず、以下の義務づけがなされています
    • 開示するかどうか発信者の意見を聞かなくてはならなりません。ただし、発信者に連絡することが出来ない場合などは例外です。
    • 発信者情報の開示を受けた者は、発信者情報をみだりに用いて、当該発信者の名誉又は生活の平穏を不当に害する行為をしてはなりません。
    • 開示しなかった場合に被害者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責任を負いません。


     

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